台湾初、環境にやさしいスカイランタンの創造者への8つの質問

インタビュー

二酸化炭素排出量ゼロ+廃棄物ゼロのスカイランタン

スカイランタンは台湾文化の代名詞であり、毎年何万人もの観光客が体験します。

スカイランタンを空に放つ体験はとっても楽しいアクティビティですが、ランタンが落ちる先のことを考えたことはありますか?
魔法のように美しいスカイランタンは、実は環境破壊に繋がると言われています。

それに応えて、若手起業家・邵璦婷さんはより環境に優しい、新しいスカイランタンを開発しました。
2016年、邵璦婷さんはオンラインでクラウドファンディングを行い、3か月以内に160万NTD(約576万円)を調達しました。

環境にやさしいスカイランタンの誕生について邵璦婷さんへインタビューに答えていただきました。

質問1:環境にやさしいスカイランタンを開発するきっかけはなんでしたか?

美しいスカイランタンですが、背後には深刻な廃棄物問題を抱えています。
台湾の文化を視覚的に体験できる素晴らしいアクティビティがそのような問題を持っていることをずっと気にしてきていました。
その結果、2016年に私たちはスカイランタンの職人達と協力し、より持続可能なスカイランタンを開発することになりました。

質問2:スカイランタンはどのような環境問題を起こしますか?

平渓では、毎年約30万から40万のスカイランタンが飛ばされています。
一つのスカイランタンの重さは150グラムとしたら、毎年最低でも45トンのランタンが森に落ちていくことになります。

政府は森林からランタンの廃棄物を収集すると奨励金がもらえるプログラムを導入していますが、廃棄物の最高収集の年間比率は90%でした。
言い換えれば、約4トンの廃棄物はまだ森に残されたまま、環境を汚染していることになります。

質問3:従来のものは環境に有害なら、それはまだ販売されている理由は?

ランタンが台湾の代名詞になったことによって、台湾と平渓の人気は確実に高まりました。
毎年、多くの観光客は自分のランタンが飛ばしたくて、台湾を訪れます。
外国人観光客の間で、平渓スカイランタンフェスティバルは台湾で最も有名なフェスティバルの一つです。

このフェスティバルは世界的に有名であり、ディスカバリーチャンネル、CNN、ナショナルジオグラフィックなどから国際的な注目を集めています。
台湾の文化イメージにとって大切すぎて、やめるわけにはいかないのが現状です。

質問4:この新しいスカイランタンが開発されるまで、どれぐらいかかりましたか?

私たちは産業デザイナー、機械エンジニア、化学エンジニアなど、さまざまな分野から専門家を集め、対策を考えました。
2年半の作業と試作を経て、大量に生産できる環境にやさしいスカイランタンを開発しました。


質問5:環境にやさしいスカイランタンと旧式のものの主な違いを教えてください

旧式のスカイランタンは燃え尽きると、森へ落ちてただのゴミになります。
紙(水に強い)とワイヤー、テープと竹でできています。その中でも、竹の成分は分解するのに非常に長い時間がかかります。
一方、環境にやさしいスカイランタンの成分は燃料としても使われている紙、それだけです。その結果、空で一定の高さに達すると、環境にやさしいスカイランタンは完全に燃え尽きます。

また、空で燃え尽きることで、環境に優しいランタンは「願いを運ぶ」という伝統的な役割もしっかり果たすことができます。

質問6:開発の中で邵さんが直面した最大の困難は何でしたか?

環境にやさしい骨組み部分の開発は難しかったです。従来のランタンの骨組み部分は、安定性を保つためにワイヤーでできています。
6ヶ月のテストを経て、エンジニアは可燃性と十分な強さ、この両方の特性を備えた素材を見つけました。

質問7:一部の人は、種類にかかわらず、スカイランタンを飛ばす限り有害な二酸化炭素は排出されると考えています。
環境にやさしいスカイランタンは本当に環境に影響はないのでしょうか?

私たちにとって重要なのは、二酸化炭素が大気に排出された後、サイクルのバランスを取るのが可能かどうかです。
私たちの計算では、一つの環境に優しいスカイランタンは1.28kgの二酸化炭素を排出します。
これは、台北駅から板橋駅まで、タクシーに乗るのとほぼ同じで、あるいは、大人一人の1.5日間で呼吸での排出量とほぼ同じです。
サイクルのバランスを取ること自体に関しては、次の質問で説明しますね。

質問8:どのようにこの環境にやさしいスカイランタンを観光地の販売者へ宣伝していきたいですか?
計画は3つの段階があります。

短期計画:木を植えること

国内の調査により、種類によって樹齢20年の木は毎年11〜18kgの二酸化炭素が吸収できるといいます。樹齢20年の木が毎年11kgの二酸化炭素を吸収する場合、その期間に約8.6個のスカイランタンの総二酸化炭素排出量が吸収できます。

したがって、短期的にこのランタンの二酸化炭素排出量を相殺するため、利益の一部を使って梧桐基金會という基金と協力して木を植えていきます。
同時に、専門の環境工学チームにランタンの二酸化炭素排出量について概算してもらう予定です。

中期計画:スカイランタンの二酸化炭素排出量をゼロにすること

ランタンの二酸化炭素排出量の概算の結果が出たら、専門コンサルタントと検査機関に参加依頼して、International Guidelines PAS 2060に基づいて、炭素浄化管理計画の検証を行います。
制作過程からランタンが燃え尽きるまでに排出した温室効果ガス量を全て相殺したいため、一部の資金を二酸化炭素中和の炭素クレジットの購入で調達することを考えています。

長期計画:スカイランタンの数を制限すること

スカイランタンの数は制限すべきだと思います。
それで、ランタンが平渓に与える環境影響を検討する必要があります。
長期には、環境に不可逆的なダメージを与えないように、スカイランタンの数をどこまで制限するかを決定したいです。

台湾初の環境に優しいランタンフェスティバル

WISH 2019サステイナブルスカイランタンフェスティバルは、環境に優しいスカイランタンが体験できる最初のスカイランタンフェスティバルです。
願いごとをすると、スカイランタンは完全に燃焼し、空で分解し無駄をゼロにします。

WISHは平渓の歴史によって名付けられたイベントです。
森の奥深くの会場で音楽ライブ、クラフトビール、地元の芸術品や工芸品、台湾のオーガニック食材を使った農場での食事体験を楽しみながら、環境にやさしいスカイランタンを飛ばすイベントです。

(本記事はTaiwan Sceneより転載許諾を得て翻訳・掲載しています。オリジナルのコンテンツはTaiwan Sceneにて掲載しています。)

タイトルとURLをコピーしました