台湾東海岸で最大規模のアート&音楽フェス『2025東海岸大地藝術節(以下、『東海岸大地芸術祭』)』が、6月21日(土)~9月9日(火)まで開催中!
今年で11年目を迎える『東海岸大地芸術祭』は、台湾交通部観光署・東部海岸国家風景区管理処(東管処)が主催する、台湾東海岸最大規模のアートと音楽の祭典です。「持続可能性」「グリーン環境」「地域共生」を理念に掲げ、東海岸ならではの人と自然、文化、観光の魅力を、アートと音楽を通じて表現してきました。
2025年のテーマは「成為出海口(河口になる)」。山と海が出会うこの大地で、人々が自然のエネルギーを受け取り、それを生きる力へと変えていく――そんな場を目指しています。
中でも注目は、今年も豪華アーティストたちが集う「月光.海音樂會(以下、「月光.海コンサート」)」。さらに、新たに選ばれた4組のアーティストによる現地での創作活動や、各地で連動して開催されるイベントを束ねた「芸術文化連携プラットフォーム」、そして地元の特産品や原住民族・クリエイターたちの作品に出会えるマルシェなど、見どころが盛りだくさんです。
今年の台湾東海岸では、どんな出会いと体験が待っているのでしょうか?
五感をひらいて、台湾の豊かさに触れる『東海岸大地芸術祭』の見逃せない魅力をたっぷりご紹介します!
『東海岸大地芸術祭』4つの見どころ
【1】豪華アーティスト出演「月光.海コンサート」

人気アーティストが多数出演「月光.海コンサート」

夜の月明りと太平洋の海に包まれる圧巻の演出
今年も都歴ビジターセンターにて、著名アーティストが会場を盛り上げる音楽祭「月光.海コンサート」を計8回開催します!
毎年大好評の音楽イベントで、国内外からこのステージを見るためにわざわざ台東に訪れる人も少なくありません。

2025年「月光.海コンサート」スケジュール
■「月光.海コンサート」スケジュール
6月21〜22日
7月11〜12日(12日は有料)
8月9〜10日(9日は有料)
9月8〜9日
■超豪華な出演アーティスト
日本の音楽界のレジェンド「平安隆×東京中央線」をはじめ、タヒチのKumuダンス団「Kumu Walis」、インドネシアのパフォーマンスグループ「Singo. Barong」、マカオからはシンガーソングライターの「何超儀(ホー・チョウイ)」、金曲賞受賞アーティスト「舞思愛 Usay Kawlu」、そして2025年グローバル・ミュージック・アワード金賞を受賞した「戴曉君」など、国内外の実力派がずらり。ここでしか観られない特別なステージが繰り広げられます。
■注目の有料公演
7月12日「無垠之洋」
・VH
・鳳 小岳
・鶴 The Crane
・?te 壞特
・鄭宜農 ft. ABAO 阿爆
8月9日「河海共舞」
・好樂團 GoodBand
・LÜCY
・YELLO 黃宣
・傻子與白痴
・董事長樂団 ft. 蔣進興
東海岸ならではの個性派アーティストたちが集結!
チケットは、アミス音楽祭(阿米斯音樂節)や江賢二芸術園区と共通で使えるものもあり、雄獅旅行社(旅行会社)やThe Gaya Hotel 潮渡假酒店(ホテル)などと連携した宿泊パッケージもあるので、旅+フェスの両方を楽しむことができます。
■原住民ポップ音楽の特別企画
9月8日には「風華再現」を開催。文化部と国立伝統芸術センター台湾音楽館の共催で、台湾原住民のポップ音楽の歩みにフォーカス。「桑布伊×陳明仁」「盧靜子×呉花枝×以莉高露」「王宏恩×謝英雄」「達卡鬧×小魯凱楽団」など、世代を超えたアーティストが一堂に会し、原住民族音楽の魅力を未来につなげる感動のステージを届けてくれます。
■チケット情報
【7/12(土)公演 】Ibonにて発売中
【8/9(土) 公演】Ibonにて発売中
【アミス音楽祭】Klookにて販売
【宿泊連携チケット】landart.east@gmail.com(担当:陳)までお問い合わせ
【2】地元の特産物・原住民工芸品に出会えるマルシェ

東海岸ならではの特産物、原住民族やクリエイターのオリジナル工芸品がズラリ。
コンサート期間中は、地元の特産品や原住民族の工芸品などが並ぶマルシェも盛大に開催されます。台東スローフードフェスティバルに参加したクリエイターや地域の出店者による、グリーンで個性豊かなグルメや雑貨にも注目です。

ここでしか味わえない心に響く体験を。
温かな月光とやさしい潮風に包まれながら、音楽と買い物、そして土地の文化を五感で味わう時間——。国内外のアーティストたちが紡ぐ物語に身をゆだね、ここでしか味わうことのできない“東海岸の魅力”をぜひ体感してみてください。
【3】新たな4組のアーティストによる現地アート創作
今年は国内外から4組のアーティストを選出。ハンガリー出身で現在は日本在住の「Sandor Zelenak」、台湾のアーティスト「伊命・瑪法流」「安聖惠(娥冷・魯魯安)」、J工廠&W工坊の「林俊德+高惟維」が、花蓮・台東にてアート作品を展示します。
過去に創作されたアート作品も含めると約30点の作品が、東海岸と離島の綠島に展示され、自由に参観することができます。▶作品MAPはこちら
■ Sandor Zelenak(桑多爾・澤萊納克)/サンダー・ゼレナク

創作者: Sandor Zelenak(桑多爾・澤萊納克)(出典:東海岸大地芸術祭 公式HP)

ラフ案 Sandor Zelenak

作品名:「対位法 × アミ族のポリフォニー」(出典:東海岸大地芸術祭 公式HP)
作品名:「対位法 × アミ族のポリフォニー」
展示場所:宜灣部落
複数の旋律が独立しながらも美しく調和する「対位法(Counterpoint)」。この西洋音楽理論は、アミ族の伝統的なポリフォニー(複音合唱)とも深く響き合います。
本作は、その“個の声と全体の調和”という音の本質を可視化し、空間と一体になった体験型アート。
竹は旋律の流動性を、鋼材(鉄筋・ステンレス)は構造の支柱を象徴。交差する素材の構造体が、まるで空間に編みこまれた音のネットワークのように、観る人を包み込みます。
アミ族の文化と現代アートが交差するこの場所で、あなたの“耳”と“目”を使って、音と空間の対位法を体感してみてください。
使用素材:竹、鉄筋、ステンレス
サイズ:長さ6m × 高さ2.5m(土台部分は地中80cm)
▶作品紹介/MAPはこちら
■依命・瑪法琉/イミン・マファリュウ

創作者:依命・瑪法琉(出典:東海岸大地芸術祭 公式HP)

ラフ案 依命・瑪法琉

作品名:「溯源之旅(源流への旅)」(出典:東海岸大地芸術祭 公式HP)
作品名: 「溯源之旅(源流への旅)」
展示場所: 磯崎海水浴場入り口付近
毎年春、雷が鳴り響くと河口の水量が増え、川は砂浜の壁を越えて再び海へと流れ込みます。
その川の命たちは、繁殖のために海へ向かい、孵化した後はまた上流へと「溯源(源流に遡る)」旅を続けます。
この作品は、そんな自然の循環と生命の営みをテーマにしています。特に部族の人々が大切にしてきた、河口で日本禿頭鯊(トビハゼやハゼ類の稚魚)が洄游し捕られる文化にも着目。自然の営みと人の文化が重なり合う場所に、生命の旅を感じる造形を表現しています。
使用素材:外装:木材、防水PU、保護塗料/地基:セメント
サイズ:現地の景観との調和を考慮し、設置時に最終決定
涼亭(東屋)高さ前250cm/後200cm、幅300cm/基礎:深さ60cm、幅70cm(4角あり)
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■安聖惠(娥冷・魯魯安)/アン・シェンホイ(アレン・ルルアン)

創作者:安聖惠(娥冷・魯魯安)(出典:東海岸大地芸術祭 公式HP)

ラフ案 安聖惠(娥冷・魯魯安)

作品名:「fakiの背中」(出典:東海岸大地芸術祭 公式HP)
作品名: 「faki的背影(faki的背中)」
展示場所: 寧埔橋休憩エリア
この作品は、未踏の身体感覚と山海の知恵への憧れを象徴する彫刻です。
トビウオが夜の海を飛ぶときに聞こえる「ディアディア」という響き。トビウオは、生き延びるために羽を動かし海面を飛び越えながら命をつないでいます。その身体に刻まれた軌跡として表されています。
使用素材:竹、水道管、カーペット(外装)/鉄パイプ、鋼板(構造)/鉄筋と石(地基)
サイズ:本体 長さ540cm × 高さ570cm × 幅40cm/基礎 長さ500cm × 高さ60cm × 幅80cm
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■ J工廠(林俊德+高惟維)/J工場(リン・シュンダ + ガオ・ウェイウェイ)

創作者:J工廠(林俊德+高惟維)(出典:東海岸大地芸術祭 公式HP)

ラフ案 J工廠(林俊德+高惟維)

作品名:「繽紛跳耀東海岸-成為出海口」(出典:東海岸大地芸術祭 公式HP)
作品名:「繽紛跳耀東海岸-成為出海口(カラフルに舞う東海岸-河口になる)」
展示場所: 都地ビジターセンター
布の折りひだで、東海岸の象徴・頭目山の稜線を繊細に表現。やわらかな布の流れが、東海岸らしい華やかな波を描き出しています。リサイクル素材でつくられたトビウオたちは、まるで波の上ではじけるように軽やかに舞い、海と空を自由に駆けめぐる姿を思わせます。
環境へのやさしさと、土地の自然・文化への敬意が込められた、生命力あふれる作品です。
使用素材:リサイクル布(音楽会のテント布を含む)、海岸の浮標、資料ホルダー、コーヒー袋、ペットボトルなど
サイズ:幅1500cm × 高さ300cm × 厚み20cm(壁面)
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【4】芸術文化をつなぐプラットフォーム

連動イベント一覧(出典:公式HP『東海岸大地芸術祭』)
『東海岸大地芸術祭』では、4月からすでに「芸術文化連携プラットフォーム」として、展示・音楽・マーケット・講義・体験ツアーなど、さまざまな文化イベントを展開中。
6月1日からは、日常と文化がゆるやかにつながる「老闆來串生活」シリーズがスタート。さらに、11月8日・9日には、アミ族出身の人気アーティスト・舒米恩(Suming)と都蘭部族による大人気イベント「アミス音楽祭」(阿米斯音樂節/Amis Music Festival)も開催予定です!
▶老闆來串生活Instagram
▶阿米斯音樂節(Amis Music Festival)Instagram

大阪・関西万博で華やかな存在感を放つ賴純純さんの作品《奇異仙境・希望の花》 (出典:文化部の公式Instagram)
さらに、大阪・関西万博では、台湾を代表するアーティスト・賴純純(ライ・チュンチュン)さんが、光と環境を融合させたインタラクティブ作品《奇異仙境・希望の花》を展示中。台湾のアートが、国際舞台でも輝きを放っています。
毎年台湾東海岸の地で、新たな文化や出会いが生まれ続ける『東海岸大地芸術祭』は、遠方からでも足を運ぶ価値が十分にあります。この夏はぜひ、台湾東海岸で太平洋の風と大地の息吹を感じながら、ここで生まれた多彩なアート作品や音楽、工芸品に触れてみませんか?
アクセス
コンサート・マルシェ会場となるのは、都蘭ビジターセンター。有料バス・ライドシェアサービス(予約制)で台東駅などから直行便が出ているため、行かれる際はぜひ参考にしてみてください。
■公共交通機関 <一例>
【台北桃園空港着】MRTで台北松山空港 → 飛行機で台東空港 → バス・電車で台東駅 → シャトルバス
【高雄空港着】 MRTで 高雄駅 → 鉄道で台東駅 → シャトルバス
■自家用車
花蓮市または台東市から省道11号線を使い、125.5km付近で標識に従って会場へ。
■有料シャトルバス
1.台東駅 → 都蘭糖廠 → 都蘭ビジターセンター(会場)
2.花蓮・玉里駅 → 安通温泉 → 成功 → 都蘭ビジターセンター(会場)
3.知本温泉 → 都蘭ビジターセンター(会場)
シャトルバス(予約制)
■ライドシェアサービス <推奨>
LINEやネット予約を通じた相乗りサービス(花蓮-台東)や、乗合タクシーによる交通費の削減も可能です。
有料シャトルバス・ライドシェアサービス(予約制)
イベント情報

2025東海岸大地藝術節
名称:2025東海岸大地藝術節(東海岸大地芸術祭)
期間:6月21日(金)~9月9日(火)
会場:都蘭ビジターセンター(台東県成功鎮新村路25号)
時間:16:00~21:30(アートマーケット含む)
音楽会:17:30~22:00
主催:交通部観光署東部海岸国家風景区管理処
駐車場:あり(満車時は道路沿いの臨時駐車場へ)
公式HP:https://www.eastcoast-nsa.gov.tw/teclandart/
■連携宿泊施設
Gayaホテル、雄獅旅行社、The Gaya Hotel潮渡假酒店、那魯灣大飯店、知本金聯、旅人驛站、伊塔原旅、友愛山序など。最新情報は、東部海岸国家風景区管理処の公式ウェブサイトをご覧ください
■持続性・地域連携・国際発信
・台東県政府及び文化部と連携し、芸術・観光の影響力を拡大
・企業スポンサー:台新国際商業銀行、信邦電子株式会社、兆豊証券株式会社、優群科技株式会社など(8月10日開催の回は、企業のご協賛により実施予定)
・海外PR:シンガポール、マレーシア、香港、欧米などをターゲットとし、映像コンテンツと広報活動を通じて国際的な認知度を向上
台湾国内においても、メディア露出や多様な販売チャネル、店舗とのコラボ商品を通じた連携を進め、「台11シネマ」による映画上映およびアフタートークイベントを実施し、全国民が参加できる芸術祭の実現を目指すイベントです。
記事執筆:加賀ま波 (MAHA)
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筆者プロフィール

加賀ま波(MAHA)
台湾大好きライター│ハンドメイド作家
著書に『台湾を自動車で巡る。台湾レンタカー利用完全ガイド』(なりなれ社/KKday・budget協賛)、『慢慢來 あの日の台湾210days』(想創台湾)がある。
2011年、はじめての台湾旅行中に東日本大震災が発生。台湾から見た日本の情景と、自分自身の台湾への無知さとの乖離に違和感を感じ「台湾をもっと知りたい」と思うようになる。同年、嘉義県大林のボランティア活動に参加し、台湾人の温かいおもてなしとキテレツな文化に触れ、帰国後もずっと台湾のことが頭から離れなくなる。その後も渡台を繰り返し、2021年のコロナ禍にワーキングホリデーと留学の夢を叶える。
現在は、美麗(メイリー)!台湾の専属ライターとして、取材執筆、SNS運営、イベント運営などを担当。個人の活動では「想創Taiwan」というブランドを展開、原住民レースなどでオリジナル雑貨を創作し日本各地の台湾関連イベントで販売中。HP・通販/Instagram