「病院に行くほどではないけど、気になる体の不調を改善したいなぁ」
歳を重ねるにつれ、以前に比べると頭や肩など体のどこかが痛む機会も増えているような気がしてならない今日このごろ。女性特有の生理前の不調なんかも気になり始め、なんとかもう少し体を整えたい……なんて考えているときに台湾人の友人に勧められたのが「漢方診療」でした。
実は台湾では、日常生活に漢方の文化が深く根付いており、普段口にする食べ物や飲み物にもその知恵が生かされています。また、街中には漢方診療所が多く、漢方薬も手軽に手に入れることができるのも魅力の一つ。そのため台湾人の多くは知らず知らずのうちに体調を整え、季節に合わせて養生しているのです。
そこで、友人が紹介してくれたのは、台北・迪化街(大稻埕)にある老舗の漢方診療所『生元藥行』。ここは、すでに数々のメディアでも取り上げられているほど歴史ある有名店で、日本語もできる通訳スタッフが常駐しているため、観光ついでに気負うことなく足を運ぶことができるというのです。
というわけで、物は試しとさっそく筆者も漢方初体験!
実際にお店に行って専門医より漢方診療をし、処方された漢方薬を飲んでみた感想と結果、気になっていた漢方フェイスパックと漢方石鹸を使ってみた結果を忖度なし、赤裸々にレポートします。
ドキドキの漢方初体験!

存在感のある大きな扉『生元藥行』
場所は、日本人観光客も多くにぎわう台北の人気観光地、迪化街(大稻埕)の近く、南京西路沿いにあります。地下鉄・MRT の中山駅、北門駅から歩いて約10分ほど、台北観光のついでに立ち寄るにもアクセス抜群の立地です。

思わず見入ってしまう棚一面の漢方瓶と、丁寧に計量するスタッフたち
扉を開けると、ふわ~っと薬草の香りが鼻の中に入ってきました。棚には天井まで届くほどの薬瓶がずらりと並び、カウンター越しには真剣な表情で漢方の材料を計るスタッフの姿が。笑顔で写真の許可をくださったスタッフがわざわざ作業している手を止めてくれたりもして、そのやさしさに緊張がほぐれました。

カウンターごしに多くのスタッフが忙しそうにしています
『生元藥行』の創業は1946年。店内のカウンターの後ろには老舗らしい木の看板に「貨真價實、童叟無欺」──“正直に、誰にでも同じ価格で”という企業理念である言葉が掲げられています。
店内をキョロキョロしていると、日本語のペラペラな女性のスタッフが話しかけてくれました。
「診療を予約していますか?」
「診療をしなくても悩みに合わせて漢方だけを購入することもできます。診療をする場合は順番に案内します。診療代300元+漢方代(約2週間分で1500~2000元ほど)がかかります」とのことでした。

初めて目にする漢方薬が棚いっぱいに並んでいます

漢方の種類、効能、価格がわかりやすく一覧になった資料(2025.8時点)
そして、渡されたファイルには日本語で商品の説明が一つ一つ丁寧に書かれてありました。
そこには、誰もが一つは当てはまるであろう体の不調を表現するワードがずらりと並んでいます。確かに、診療を受けなくても自分に合った漢方が見つけられそうなほど細やかに内容と価格が書かれています。
【症状の一例】
抗がん、血糖値調整、高血圧、不眠、物忘れ、動悸、アンチエイジング、免疫力向上、PMS、月経不順、生理痛の改善、冷え性、血行の改善、腰痛、だるさの改善、内臓の熱を調整、膀胱の痛み、血管性神経痛、自律神経失調症、不安症、便秘、にきび、吹き出物、口内炎、頭の疲れ、歯痛、ニキビ、吹き出物、内耳迷路炎、前庭神経炎、ダイエット、消化不良、顔のほてり、更年期障害、精力減、脱毛、動悸、 息切れ、耳鳴り、高血圧、口、肩こりなどの改善、神経痛、筋肉痛、関節痛、リウマチなどの改善、視力の改善 ほか
漢方診療で悩みを相談

お店から歩いてスグのところにある診療所
今回は、実際に診療を受けることを目的に来ていたので、診療を希望すると、店を出て歩いてすぐのところにある診察室まで日本語で案内してくれました。
この日は15分ほどの待ち時間で案内されましたが、休日などは混み合うため、あらかじめ訪問する時間がわかっている場合は事前予約がおすすめです。
▶お問い合わせ・予約電話:+886-2-2550-2331(日本語可)
また、日本語通訳スタッフが常駐しており、案内から診療までの通訳サービスはすべて無料なのも安心。

診療代300元の領収書
診療代は一律300元で、漢方代は処方される漢方の種類によって値段が変わりますが、だいたい約2週間分で1500~2000元ほどになると事前に案内がありました。
診療して漢方薬が処方された後はキャンセルができないそうです。

優しそうな白衣を着た中医師
名前を呼ばれて、通訳スタッフと部屋に入ると、白衣を着た中医師が座って待っていました。
まずは手を出して脈診をしながら、改善したい悩みについて通訳スタッフよりヒアリングが始まります。
慢性的な片頭痛、冷え性、生理前の便秘、顔や足のむくみなど、悩みを思いつく限り赤裸々に伝えていきます。
すると、「片頭痛の頻度は?」「便秘の期間と頻度は?」など細かく症状を聞かれて答えます。
脈診をしている中医師からは、「おなかにガスは溜まりやすいですか?」「代謝があまりよくありませんね」などと診断されながら、紙に症状が書かれていきます。また、不安なことはすべて話しておいたほうが良いと思い、念のため「生理前の便秘には悩んでいますが、普段外出が多く、便秘に効きすぎてお腹が痛くなってトイレに駆け込むのは怖いので、ほどほどにしてほしい」ともお伝えしておきました。
体の状態によっては舌を見て診察することもあるそうですが、今回は脈診だけでした。
10分ほどで診療が終わり、再び通訳スタッフとお店まで戻り、漢方薬を調合するため20~30分ほどお店で待つことになります。
漢方薬が処方されるまで

昔ながらの方法で軽量するプロの立ち姿にうっとり

体に効きそうな漢方食材がきれいに並べられています
店内では伝統的な計りを使って一つ一つ材料を丁寧に計るスタッフの姿が美しく、思わず見入ってしまいます。
一人一人の診断に合わせて細やかに漢方薬が作られている様子が目の前で見られるのも安心でき、自分の漢方薬が出来上がるまでの待ち時間もあっという間に感じました。

ついに、マイ漢方薬が完成!
通訳スタッフより漢方薬のぎっしり入ったプラスチックのボトル(スプーン付き)と処方箋を渡され、丁寧に案内がありました。
◆一日3回、一回スプーン2匙、空腹時に飲んでください。
◆材料の関係で量が多くとれたので約3週間分できました。
◆金額は1300元です。(あれ、聞いていたより安い)
◆日本から続けて購入したい場合は、メールでご注文ください。(案内の紙もあり)
飲んでみて体調が改善され、そのまま続けたい場合はメール1通で日本への郵送も可能だそう。
その際に処方箋の写真が必要になるので、持ち帰った後も捨てずに保管しておくとよいです。
1週間分、1ヶ月分など、量も相談できるので、希望に合わせてアレンジできるのも嬉しいですね。
体験してみた結果
ちなみに今回は一番安い「粉タイプ」で処方してもらいました。
まず、味の感想から正直に言うと……もちろん処方される漢方薬によって味も様々だと思いますが、漢方特有の香りが強く、普段飲み慣れていない筆者にとっては、決してお世辞でも美味しいとは言えません(笑)。
飲み方は、水かお湯に溶かして飲むのが一般的だそうですが、水の量が多いと飲みにくいので、個人的にはできるだけ少量にして一気に薬のように飲む! そして味に慣れない間は、飲んだあとすぐに味の濃いフルーツジュースなどを飲んで口の中に残った味をかき消すという方法を覚えました。それでも想像以上に漢方の味が口に残ります。
ほかにも錠剤タイプ、液体タイプ、煮出すタイプなどから選べるので、次は「錠剤タイプ」にしようと思っています。
2週間飲み続けた効果……
まずは、飲んだ日から体全体と指先が少しポカポカと温まる感じがしました。
また、生理前の1週間ほどはいつも便秘のせいでお腹が張った感じが常にあり悩まされていましたが、ビックリするくらいに便秘が解消されお腹の張りも気になりませんでした。いつもと食生活などは変わっていないので、おそらく苦い思いをして頑張って漢方を飲み続けたおかげだと思います。
しかし、まだこの味には、慣れません……。
「便秘の改善に効きすぎて、逆に腸が活発になってお腹が痛くなったりしないか」という心配は無用で、飲み始めてから特に市販の便秘薬によくある副作用的な感じはまったくなく安心しました。
そのほかの症状について、片頭痛に関しては、気圧の変化や長時間パソコン作業をしたりしていると時々起こるので別の改善方法が必要そうです。
ただ、通訳スタッフにも言われましたが、漢方はあくまでも体質改善のための処方なので、2週間でちゃんと効果が出るのは逆に良いほうで、2週間以上飲み続けることでじわじわと体の中から改善されていくそうです。そこで自分の体に合っているかどうかを見極めるのがポイントだそうなので、日々自分の体調の変化をチェックしていくことがおすすめです。
今回は初めて漢方を試してみて、すでに便秘や冷えの部分で効果が強く感じられたので、今後新たに悩みが増えたときにも強い味方ができたのは嬉しい結果です!
肌がワントーン明るくなる漢方パック&石鹸

「慈禧玉容」シリーズの漢方石鹸(左)と漢方フェイスパック(右)
さらに、『生元藥行』は数多くのメディアでも取り上げられている人気ブランド「生元草本」というブランドも立ち上げており、漢方パックや漢方石鹸などの美容商品も話題となっています。
実は前からよくSNSやブログなどで目にする機会があり気になっていたので、こちらも試しに購入してみることに。

「慈禧玉容」シリーズの漢方フェイスパック
「慈禧玉容」と呼ばれる漢方フェイスパック(60g/1200元)は、清代の宮廷で慈禧皇太后のために調合された秘方「玉容散」をベースにしたもの。現代では使いやすい形にアレンジされ、美白や保湿、シミ対策に役立つとされています。さらに角質ケアや肌のキメ改善、ハリ感アップまでサポートしてくれるそうで、まさにオールインワンの存在。アンチエイジングを意識する方にも心強いアイテムです。

柔らかい泥のようなクリーム状のパックです
クリーム状で柔らかく、そのまま手でスーと顔に薄く伸ばすことができます。これを10~15分ほど放置して水でよく流します。
漢方特有の香りがありますが、香り自体はそこまで気になりません。ピリピリした感覚があるという口コミを見たことがありますが、そこまで気になりませんでした。
どちらかというと肌に張り付く感じがして保湿というより乾燥している感覚があったのですが、洗い流した後はプルンと潤っていました。
さらに嬉しいのは、肌がワントーン明るくなっていたこと。かなり即効性があるフェイスパックだと感じました。
おすすめされたのは2~3日に1回ほどの頻度ですが、使われている生薬はすべて天然のモノなので毎日使っても大丈夫とのことです。

「慈禧玉容」シリーズの漢方石鹸
「慈禧玉容」シリーズにはパックのほか、漢方石鹸(125g/300元)もあります。
こちらは全身使えるそうですが、漢方フェイスパックとセットで使えばより効果が期待できるんだそう。
少し水でぬらすだけでかなり泡立つので毎日使っても長く使えそうです。

健康&美を台湾のお土産に♪
台北観光の合間に立ち寄れる『生元藥行』は、漢方診療から美容アイテムまで揃う特別なスポット。
漢方は市販の薬と違ってリスクも少ないので、何度か試してみて自分の体に合ったものを見つけるのも台湾旅の一つの楽しみになりそうです。
台北を訪れた際は、グルメやショッピングだけでなく、“体を整える漢方体験”をプランに入れてみませんか? きっと旅の充実感・健康度がアップすること請け合いです。

生元藥行
■生元藥行
TEL: +886-2-2550-0331
住所:台北市大同区南京西路181号
MAIL:p.service@sheng-yuan.com
公式HP:https://www.sheng-yuan.tw/
筆者プロフィール

加賀ま波(MAHA)
台湾大好きライター│ハンドメイド作家
2011年、はじめての台湾旅行中に東日本大震災が発生。台湾から見た日本の情景と、自分自身の台湾への無知さとの乖離に違和感を感じ「台湾をもっと知りたい」と思うようになる。同年、嘉義県大林のボランティア活動に参加し、台湾人の温かいおもてなしとキテレツな文化に触れ、帰国後もずっと台湾のことが頭から離れなくなる。その後も渡台を繰り返し、2021年のコロナ禍にワーキングホリデーと留学の夢を叶える。
現在は、美麗(メイリー)!台湾の専属ライターとして、取材執筆、SNS運営、イベント運営などを担当。個人の活動では「想創Taiwan」というブランドを展開、原住民レースなどでオリジナル雑貨を創作し日本各地の台湾関連イベントで販売中。著書に『台湾を自動車で巡る。台湾レンタカー利用完全ガイド』(なりなれ社/KKday・budget協賛)、『慢慢來 あの日の台湾210days』(想創台湾)がある。
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