独学じゃ続かない…を変える! 台湾好き社会人がおくる台湾華語習得の秘訣【私の台湾華語勉強法・社会人編】

台湾華語学習

「時間がない……」「どこからどうやって勉強すればいいの……」
自ら時間を確保しながら、独学が主流となる社会人の言語学習には、悩みや疑問が尽きませんよね。
一方で、忙しい日々の中でのモチベーションの保ち方や学習の仕方を習得できたら、何歳からでも言語学習はスタートできます! 人生100年時代の今、それってとってもワクワクしませんか?

【私の台湾華語勉強法シリーズ・社会人留学編】でお話を聞いたのは、ライター兼ハンドメイド作家のま波(MAHA)さん。
美麗(メイリー)!台湾の専属ライターとして様々な台湾情報を発信しながら、台湾雑貨の創作や台湾イベントの運営にも携わっており、多方面でご活躍されています。
多くの台湾人とのつながりをもち、旅行や日常会話レベルの台湾華語はお手のものです。
台湾に出会ったきっかけや、社会人としての留学経験を経て得た、ま波さんおすすめの勉強法や教材まで、台湾華語を学びたい方・学んでいる方にぴったりのお話を聞いてきました!
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台湾の布を使った手芸ワークショップの様子(『誠品生活日本橋』にて)

―― ま波さんの現在の活動を教えてください

現在は、仕事・趣味ともに「台湾」をキーワードに活動しています。仕事では、美麗(メイリー)!台湾のライターとして、日本人向けに台湾情報や文化をブログやSNSで発信しています。
趣味としては、台湾で買い付けた原住民族のレースや台湾モチーフの布を使って、雑貨をつくっています。ここ数年はあちこちで台湾関連のイベントが開催されるようにもなり、そうした場所への出店も数えること50回以上。そんな中でご縁が広がり、最近はイベントの主催や運営側に携わることも増えてきました。

台湾が好きすぎて、かえってそれを仕事にすることにためらいがあったのですが、今では仕事として携わるがゆえに実現する取材や人脈の広がり、責任にやりがいを感じています。

台北のエビ釣り場。東日本大震災の映像が流れるテレビを眺めながらエビを釣った日。(2011年3月11日)

―― どんなことをきっかけに台湾への興味をもちはじめたのですか?

きっかけは大学時代、同じゼミに台湾人の交換留学生が入ったことでした。彼女との出会いが、私にとっての台湾との出会いです。その子と話したいという気持ちが台湾への興味に繋がりました。
その後、彼女に会いに台湾へ行き、旅行をしているときに東日本大震災が起こったのです。被災地を心配し、日本についてよく知っている台湾人を“身近に”感じた一方で、つい最近まで台湾のことをよく知らなかった自分にも気が付き、その台湾と日本の間にある人々の情報量や知識量の差を深く実感した出来事でした。

旅先でお世話になった友人のママからの手紙(2011年3月18日)

―― そこから台湾華語の勉強を始めたのですか?

そうですね。大学の第二外国語の授業で中国語(中国人の先生による簡体字中国語)を少し学びましたが、それだけでは全く話せるようにはならず、卒業後は台湾人の先生のオンライン授業を受けていました。また、ネットで言語交換ができる場を探して参加したり、友達をつくって交流を続けたりと、少しずつではあるものの学びを続けてきました。

―― 忙しい生活の中で独学を続けていくのは難しくありませんでしたか?

日本にいるとなかなか毎日使う機会はないので、日常生活に台湾華語を取り入れるよう工夫しました。例えば、家中のものに台湾華語とピンインを書いた付箋を貼り、覚えたらはがすというのを繰り返したり、街中で発音のわからない漢字を見つけたらすぐに調べたりして、語彙を増やしました。

★おすすめアプリ:Hanping Lite(手書き検索可・検索スピードも早い簡体字⇔英語の翻訳アプリ)

また、仲間がいることも、学習を続けるうえでの大きな支えになります。実は、コロナ禍に台湾人の友達とポッドキャストを2年間、毎週更新していました。友達は台湾華語、私は日本語で毎回テーマを変えながら話すというもので、これが私にとっては、かなりのプレッシャーとなり結果的にリスニングの強化につながりました。始めてすぐの頃に辛辣なコメントを書かれたこともあり、何度か心が折れそうにもなりましたが、2年間も続けられたのは、一緒にその状況を楽しんでくれた仲間がいたからです。

日本語を学びたい台湾人は比較的見つけやすいと思いますし、オンラインやリアルの場で交流できる機会もどんどん増えているので、興味があることにチャレンジしてみるといいと思います。

夢だった台湾大学語学センターでの留学生活を、10年越しに実現。(2021年3月2日)

―― 社会人留学もされたとお聞きしたのですが、そのことについて教えていただけますか

2021年に7ヶ月間台湾で生活し、留学とワーキングホリデーを経験しました。以前は台湾旅行もままならないくらい休みなく働いていて、「がっつり時間をとって勉強したい」「いつか台湾に住んでみたい」という思いが募っていたので、隔離もあったコロナ禍の渡航でしたが、一大決心しました。

留学前の2か月ほどは、ちょうど日本がコロナ禍の自粛期間だったこともあり、起きてから寝るまでほぼ勉強をしていました。振り返ってみると、台湾で生活していたときよりも、この渡航前に日本で勉強していたときのほうが言語力が伸びたんじゃないかと思うほどに燃えていましたね(笑)。

でも、これはぜひ留学に行かれる方におすすめしたいです。現地でゼロからのスタートではなく、少しでも台湾華語を学んでから行くことで、渡航直後からある程度自信をもって話せます。せっかくの台湾での時間、留学期間をアウトプットの機会、実践の場にできたことはとても良かったなと思っています。

日本人のいないクラスで、台湾華語を使うしかない環境でした。台湾大学語学センターの教室(2021年3月2日)

―― 台湾でも日本でも台湾華語を学ばれたま波さんがおすすめする教材をぜひ紹介していただきたいです。

私が学習し始めた頃は、中国大陸の中国語(簡体字)の教材がメインでした。コロナ前後から、台湾華語の教材や本が増えてきて、嬉しく思っています。その中でも初級から中級の方におすすめしたいのがこの3冊です。

  • 台湾華語でぐるっと台湾めぐり
    (樂大維 著/白水社)
    台湾を旅するように、各エリアごとでよく使う地名や特産など、台湾文化も一緒に学べて楽しく学習できます。台湾が好きな方、これから旅行したい方には全力でおすすめしたい1冊です!
  • 台湾華語単語 はじめの1000/台湾華語単語 つぎへの1400
    (林虹瑛 著/アスク)
    台湾華語の検定試験 TOCFL(華語文能力測驗)Band A-Bレベルの単語を台湾要素たっぷりの例文で学べるので、はじめて学習する方はこれ2冊をたたきこめば簡単な会話はできるようになるはずです。
  • 日本人が知りたい台湾人の当たり前  台湾華語リーディング
    (ニ瓶里美・張克柔 著/三修社)
    「おじさんもタピオカを飲むの」「民主化をどう確立していったの」「台湾人ってなぜあんなに親切なの」など、台湾文化や社会における50のテーマで100の疑問を解決。台湾華語と日本語の文章が見開きで見られるので、台湾の語学と文化の学習を兼ね備えた最強の一冊です!


―― 日本にいても、会話力やリスニングを伸ばすためのおすすめはありませんか?

よく使った言語学習のアプリとして、「HelloTalk(ハロートーク)」という言語交換アプリがあります。
アプリ内で仲良くなった友人とアプリ内のメッセージ機能(翻訳機能もあり)を使って毎日連絡を取り合うことで文字を打つ力がかなり養われました。その後に、定期的にオンラインで言語交流をして、実際に会って仲良くなり、さらに台湾でも一緒に遊ぶ仲にまでなりました。うまく活用すれば、友達もつくれて語学上達にもつながるのでおすすめです。
ただ、中には出会い系目的の人もいるので、あらかじめ目的に合わせて条件をしぼって探したり、もしリアルで会うことがあれば事前に何度もやりとりし、相手の情報をあらかじめちゃんと知ったうえで付き合うのがよいと思います!
HelloTalk(ハロートーク)

また、学習しはじめのころは、台湾で販売されている「ちびまる子ちゃん」など簡単なアニメのDVDを見ていました。音声が日本語なので、字幕を追いながら言い回しをノートに書いて勉強しました。耳が慣れてきてからはネットフリックスで、2つの字幕を同時に出せる「Language Learning with Netflix」(無料)をインストールして、台湾映画やドラマをよく観ていました。

10年前に台湾華語で書いた自分の手紙をふたたび見て、赤面。旅先でお世話になった友人のママへの手紙(2021年3月11日)

―― そのように学習されてきた中で、失敗談はありますか?

発音面で失敗したことは何回もあります。例えば、「an」と「ang」が間違って単語の意味がまったく違う言葉になって相手に伝わってしまい、恥ずかしい思いをした思い出があります(その単語は「ピー」が入るほどNGワードでした笑)。自分が音の違いを聞き取れない限りは、自分が発音することはできないので、間違いに気が付くのは難しいのですが、だからこそ、どんどん挑戦することが大事だと思っています。言語の間違いは、失敗を通してこそ気づけるものなので、指摘してもらえたことに感謝して、次につなげることを心がけています。

嘉義・大林でのボランティア活動。日本語教育を受けた方と筆談を交えながらお話し(2011年9月18日)

―― 語学を学ぶ中では、そのように恥ずかしい思いをしたり、伸び悩んで気持ちが折れたりすることがあると思うのですが、それでもま波さんが続けられた理由は何だと思いますか?

「台湾の人と話したい」「もっと知りたい」という気持ちだと思います。
台湾華語を学習しようと強く決心したきっかけでもある、忘れられないエピソードがあるんです。

東日本大震災が起こった2011年の夏休みに、たまたま募集していたNGO団体のボランティアを見つけ、2週間、嘉義県の大林という田舎町に行くことを決めました。その活動中のある夜、日本語を一切使わずに一緒に参加していたメンバーに自分の感想を発表する場面がありました。ですが、その頃の私はほとんど台湾華語が話せなかったため、言いたいことがなんにも言葉にできず、みんなの前で涙が出るほど悔しい思いをしました。

このボランティアを通して、『伝えたいのに伝えられない』『わかりたいのにわからない』という気持ちを経験し、それが今も続く台湾華語学習のモチベーションである『話したい』という根っこにつながっていると思います。

ちなみに、台湾の友達と続けていたというポッドキャストなのですが、実は、このボランティアに一緒に参加していた子に誘われて始めたんです。かつての自分、悔しい経験を知っているその子と台湾華語を使ってコミュニケーションがとれたときには、今度は嬉しい涙がこぼれるほど大きな喜びを感じました。

伝えたいことが思うように伝えられず、みんなでの前で泣いたあの日があったから、今がある。(2011年9月20日)

―― ぜひ、最後にこれから台湾華語を学びたい方や、今勉強中の方に向けてメッセージをお願いします!

まずは、自分の『好き』を学習につなげることが大切だと思っています。
台湾華語を学習するにあたっては、それぞれに背景や理由があると思いますが、その中で自分の中や、身の回りにある 『好き』を学びの原動力にすることが、モチベーションを保つために欠かせないことだと感じます。学びの先の目的と、楽しむということを忘れなければ自然と続けることができます。
また、日本にいながらでも台湾華語に触れられる機会はたくさんあります。スマホやパソコンの言語設定を変えたり、日記をつけてみたり、台湾人の方と出会える場所に積極的に行ってみるなど、楽しみながらも、少し自分にプレッシャーを与えて強制的に自分を学習環境に置くことで、スキルがアップし、日常生活を学びの場に変えることができると思っています。

開心學中文,天天進步!
楽しく台湾華語を学んで、毎日進歩!

※台湾で使用する國語(繁体字で表記する中国語)を「台湾華語」と表記しています。

ノンネイティブが最速で台湾華語を習得する勉強法
~忙しくても学べる、台湾華語の時短マスター術~


場所:誠品生活日本橋
日時:8月3日(日)13:00~14:00/15:30~16:30
講師:吉田皓一│ジーリーメディアグループ代表取締役
予約ページ:https://seihin0803twkago.peatix.com/


加賀ま波(MAHA)
台湾大好きライター│ハンドメイド作家
著書に『台湾を自動車で巡る。台湾レンタカー利用完全ガイド』(なりなれ社/KKday・budget協賛)、『慢慢來 あの日の台湾210days』(想創台湾)がある。

2011年、はじめての台湾旅行中に東日本大震災が発生。台湾から見た日本の情景と、自分自身の台湾への無知さとの乖離に違和感を感じ「台湾をもっと知りたい」と思うようになる。同年、嘉義県大林のボランティア活動に参加し、台湾人の温かいおもてなしとキテレツな文化に触れ、帰国後もずっと台湾のことが頭から離れなくなる。その後も渡台を繰り返し、2021年のコロナ禍にワーキングホリデーと留学の夢を叶える。

現在は、美麗(メイリー)!台湾の専属ライターとして、取材執筆、SNS運営、イベント運営などを担当。個人の活動では「想創Taiwan」というブランドを展開、原住民レースなどでオリジナル雑貨を創作し日本各地の台湾関連イベントで販売中。HP・通販Instagram

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