台北夜市おすすめガイド|人気屋台グルメ&食べ歩き特集

台北

屋台の灯り、漂う香ばしい匂い、そして人のざわめき。

台北の夜は、夜市から始まります。観光地としてはもちろん、地元の人々にとっても欠かせない憩いの場。歩くだけで心が弾む、そんな「夜の街の顔」がそこにあります。

本記事では、台北を代表する四つの夜市__士林、饒河、寧夏、師大を実際に歩きながら紹介します。それぞれに違う個性があり、訪れるたびに新しい発見があるのが台北の魅力。初めての台湾旅行でも、短い滞在でも、ここを歩けば「ローカルの夜」をきっと体感できるはずです。

士林夜市___屋台の熱気に包まれる、台北一人旅の定番

台北駅からMRT淡水信義線で約10分、劍潭駅を出た瞬間に広がるのが台湾最大の夜市・士林夜市(シーリンイエシー)です。観光客も地元の人も集まるこの夜市は、台北を象徴する夜の街として常ににぎわいを見せています。

士林夜市

士林夜市は清朝時代に市場として発展し、今では600軒を超える屋台と店舗が集まる巨大エリアとなりました。地上には屋台通りが、地下には「士林市場美食区」が広がり、雨の日でも快適に楽しめます。夕方17時頃から屋台が並び始め、夜8時を過ぎると人波で身動きが取れなくなるほど。

ここでは台湾の定番グルメがすべて揃います。中でも有名なのが大鶏排(ダージーパイ)。人面ほどの大きさのフライドチキンで、屋台「豪大大雞排」には常に行列ができています。もう一つの人気、胡椒餅(フージャオビン)は本来饒河街夜市が発祥ですが、士林でも多数の屋台が扱っており、焼きたての香ばしい香りが通りを満たします。ほかにも蚵仔煎(牡蠣オムレツのようなもの)、臭豆腐(シュウドウフ)、魯肉飯(ルーローハン)、タピオカドリンクなど、台北を代表する味が一度に楽しめます。

士林夜市の特徴は、食だけにとどまらない多彩な楽しみです。服や雑貨の屋台が並び、さらに奥には射的、輪投げ、麻雀といった娯楽屋台が広がります。特に人気なのが海老釣り屋台。水槽から釣り上げた海老をその場で焼いて食べられ、昔ながらの縁日気分を味わえます。

麻雀

エリアは基河路・文林路を中心に放射状に広がり、広さゆえに方向を失いやすいのも特徴です。初めてなら「士林市場」を目印に回るのが安心です。価格は1品40〜100元ほどと手頃で、300元もあればお腹いっぱいになります。地下フードコートでは座席もあり、食べ歩きが苦手な人にも向いています。

週末の士林は特に混雑しますが、夜市全体が明るく、深夜まで安全に歩けます。営業時間は概ね17時から23時過ぎまで。地元の学生が集まり、観光客と肩を並べて食事をする光景は、まさに「生活と観光が共存する夜市」の象徴です。

歩いてみると、スケールの大きさに圧倒されながらも、人と人の距離は不思議と近く感じます。屋台の店主が気さくに声をかけ、隣の客が道を教えてくれる。そんな温かいやり取りが自然に生まれるのが士林夜市の魅力です。歩き疲れたらジューススタンドで搾りたてのマンゴーやスイカジュースを飲むのもおすすめ。熱気に満ちた夜に、南国の甘い香りが心地よく染み渡ります。

士林夜市は、台北を初めて訪れる人にも、何度目かの旅の人にも欠かせない定番スポットです。定番の味、雑踏の熱気、人の温かさ。そのすべてを体感できるこの場所こそ、台北の夜を象徴する一枚の風景といえるでしょう。

饒河街夜市___赤い提灯が灯る一本道、胡椒餅発祥の地

台北駅からMRT松山新店線に乗り、終点の松山駅で下車。駅を出てすぐ目の前にあるのが、台北を代表する夜市の一つ、饒河街夜市(ラオフージエイエシー)です。アクセスの良さとわかりやすい一本道の構造から、初めて台湾を訪れる旅行者にも人気のスポットです。

饒河夜市

入口でまず目を引くのが、金色の龍と朱色の文字が輝く大きな門。その隣には台北屈指の古廟「松山慈祐宮」が立ち、夜市全体を見守るように灯りを放っています。夕方になると門の上に赤い提灯が一斉に点灯し、通りの奥まで続く光の列が夜空を照らします。この景観は饒河街夜市を象徴する光景として、ガイドブックにも必ず掲載されるほど有名です。

饒河街夜市の全長はおよそ600メートル。一本道を挟んで両側に200軒近い屋台が並び、通りの中央を歩くだけで主要な屋台を一通り巡ることができます。士林夜市のような迷路構造ではなく、視界の奥まで見通せる一本道なので、短時間で効率的に食べ歩きを楽しめるのが特徴です。

 

胡椒の辛みが苦手なので友人のものを撮らせてもらいました

この夜市の名を世界に知らしめたのが、胡椒餅です。外はパリッと焼かれ、中には胡椒の効いた肉餡がぎっしり詰まった中華風の焼き餅で、炭火窯で焼き上げるのが特徴。発祥の店「福州世祖胡椒餅」は入口近くの門をくぐってすぐ左手にあり、行列が絶えません。1枚60元前後と手頃な価格ながら、焼きたてを頬張ると肉汁とスパイスの香りが口いっぱいに広がり、台湾の屋台グルメ文化の原点を感じさせます。士林夜市や他の夜市でも模倣店が多く見られますが、香ばしさと生地の厚み、スパイスの配合はここならではです。

饒河街夜市は食事系の屋台が全体の7割を占め、伝統的な台湾料理を中心に構成されています。胡椒餅以外にも、牛肉麵(ひき肉のラーメン)、魷魚羹(イカのとろみスープ)、刈包(台湾式ハンバーガー)、そして甘い地瓜球(サツマイモボール)などが人気。道の中央にある老舗屋台「陳董藥燉排骨」では、薬膳スープで煮込んだスペアリブを提供しており、台湾の食文化の奥深さを感じられます。香辛料の香りが漂う通りは、士林のような派手さよりもどこか落ち着いた雰囲気で、地元客の姿も多く見られます。

スイーツやドリンクの屋台も充実しています。タピオカミルクティーのほか、冬季には焼き芋や温かい豆花、夏場にはマンゴーかき氷、ハーバルティーなど季節ごとに内容が変わるのも特徴。訪れる時期によって違う楽しみ方ができる夜市です。主が撮影した提灯通りの写真のように、屋台が放つ照明の温かさと甘い匂いが混ざり合い、歩くだけでも心地よい夜の台湾を実感できます。

饒河街夜市のもう一つの特徴は「食べ歩きの快適さ」です。道が一直線で段差も少なく、舗装が整っているため歩きやすく、観光客にも人気。士林のような混雑と比べると規模は控えめですが、その分、歩くペースを保ちやすく、短時間でも満足度が高い構成になっています。

価格帯はどの屋台も40〜100元前後と手頃で、300元あれば主な名物を一通り味わうことができます。営業時間は17時頃から23時半ごろまで。20時を過ぎると人が最も増えますが、通りの動線が明確なため、混雑していても不思議と歩きづらさを感じません。

観光夜市として整備されている一方で、地元の人々にとっても“生活の夜市”であることが、この場所の強みです。周辺には松山市場や住宅街が広がり、夜市で食事を済ませて帰る人も多い。観光と日常が共存する空気は、士林や寧夏とはまた違った魅力です。

アクセス面も非常に便利で、MRT松山駅5番出口を出て徒歩1分。松山慈祐宮の赤い屋根を目印にすれば迷うことはありません。観光ルートとしては、近くの「饒河街観光夜市」と「松山慈祐宮」をセットで訪れるのが定番です。夜市の東端には市バスの停留所があり、台北駅や信義地区からも乗り換えなしでアクセス可能です。

夜も更けて人が少なくなってくると、屋台の明かりが一段と柔らかく感じられます。店主が鉄板を拭きながら最後の一皿を焼き上げる姿や、胡椒餅の窯から立ちのぼる熱気を眺めていると、ここがただの観光地ではなく、長年にわたり台北の食文化を支えてきた「台所」であることに気づかされます。

饒河街夜市は、華やかさと庶民性のバランスが心地よい夜市です。胡椒餅をはじめとするローカルフードの奥深さ、一本道ならではの歩きやすさ、そして赤い提灯に照らされた光景、どれを取っても「台北らしさ」が凝縮されています。短い滞在でも、ここを歩けば台湾の夜市文化の核心に触れられるはずです。

寧夏夜市___台北の食専用夜市で味わうローカル

台北駅から徒歩15分、MRT雙連駅から徒歩5分ほど。市の中心にありながら、昔ながらの空気を残すのが寧夏夜市(ニンシャーイエシー)です。通りの長さはおよそ300メートル。士林夜市のような広さはありませんが、「食」に特化した夜市として知られ、台北市民の胃袋を支え続けています。

寧夏夜市

通りの両側には約100軒の屋台がずらりと並びます。衣料品や雑貨の店はほとんどなく、焼き物、炒め物、スープ、デザートなど、食の屋台ばかり。夕方6時を過ぎると通りが一気に混み始め、一本道を人が肩を寄せ合って進むほどのにぎわいになります。一本道の構造なので迷うことはなく、入り口から出口まで歩くだけで主要な屋台をすべて楽しめます。

寧夏夜市を代表するグルメは、蚵仔煎。ぷるっとした生地の中に新鮮な牡蠣が入り、甘辛いソースがかかった一品で、地元の老舗「圓環邊蚵仔煎」には毎晩長い列ができます。もう一つの名物、方家魯肉飯では、豚肉をじっくり煮込んだ香り高い魯肉飯が人気。油っこさが控えめで、日本人観光客にも食べやすい味です。

デザートも充実しており、豆花や芋圓(ユーユェン)など伝統的な甘味が多く見られます。豆花は黒糖シロップとピーナッツのやさしい甘さ、芋圓はもちもちとした食感が魅力で、どちらも歩きながら手軽に楽しめます。私が飲んだココナッツミルクのような冷たいドリンクも人気で、屋台ごとに味の個性があり、夜市全体に爽やかな香りが漂います。また、友人は「アイス梅トマトスムージー」という大変個性的な味のドリンクを飲んでいました。気になる方は、ぜひ。屋台の価格帯は40〜80元前後と手頃で、300元もあれば十分に満腹になれます。

アクセス面では、MRT雙連駅1番出口から徒歩5分と便利。台北駅からでもタクシーで10分ほどで到着します。道は整備されており照明も明るく、女性の一人旅でも歩きやすい雰囲気です。営業時間はおおむね17時頃から深夜0時ごろまで。深夜でも人通りが途切れず、食文化の街・台北を象徴する活気にあふれています。

大規模な士林夜市や観光色の強い饒河街夜市とは異なり、ここでは地元の人々が本気で選ぶ味に出会えます。もし「台湾の食文化を一夜で知りたい」と思うなら、この小さな一本道を歩いてみてください。屋台の湯気と人の笑顔が、きっとあなたを迎えてくれます。

他にも個性的な飲み物がいろいろ売っていました

デザートも充実しており、豆花や芋圓(ユーユェン)など伝統的な甘味が多く見られます。豆花は黒糖シロップとピーナッツのやさしい甘さ、芋圓はもちもちとした食感が魅力で、どちらも歩きながら手軽に楽しめます。私が飲んだココナッツミルクのような冷たいドリンクも人気で、屋台ごとに味の個性があり、夜市全体に爽やかな香りが漂います。また、友人は「アイス梅トマトスムージー」という大変個性的な味のドリンクを飲んでいました。気になる方は、ぜひ。屋台の価格帯は40〜80元前後と手頃で、300元もあれば十分に満腹になれます。

アクセス面では、MRT雙連駅1番出口から徒歩5分と便利。台北駅からでもタクシーで10分ほどで到着します。道は整備されており照明も明るく、女性の一人旅でも歩きやすい雰囲気です。営業時間はおおむね17時頃から深夜0時ごろまで。深夜でも人通りが途切れず、食文化の街・台北を象徴する活気にあふれています。

大規模な士林夜市や観光色の強い饒河街夜市とは異なり、ここでは地元の人々が本気で選ぶ味に出会えます。もし「台湾の食文化を一夜で知りたい」と思うなら、この小さな一本道を歩いてみてください。屋台の湯気と人の笑顔が、きっとあなたを迎えてくれます。

 

師大夜市___学生の暮らしと共にある小さな夜市

MRT台電大樓駅から徒歩5分、台北師範大学の正門近くに延びる細い通り一帯が師大夜市(シーダーイエシーです。士林や饒河のような観光夜市と比べれば規模は小さく、通り全体でおよそ300メートル、屋台・小店は50軒前後。2010年代初頭の最盛期には衣料や雑貨の露店が密集していましたが、近年は周辺住民の生活環境に配慮した規制で業態が整理され、いまはグルメ中心の落ち着いた構成へと変化しました。学生の夕食ニーズに応える身近な台所という性格はそのまま残り、放課後の学生や留学生、近隣住民が気軽に立ち寄ります。

師大夜市、他とは違って特に看板などはありません

価格帯は一品40〜80元ほどが中心で、300元もあれば主食・スナック・ドリンクまで十分。定番は魯肉飯、鶏排、牛肉麵、葱抓餅などの屋台料理に、学生街らしいカフェスタンドや創作スイーツが混じります。ベジ対応や量り売りドリンクなど、小回りの利く新顔が入りやすいのも特徴です。通りは細く、歩行者と屋台の距離が近いので、注文から受け取りまでの回転が速く、短時間でも満足感が出ます。

1988年創業のケバブ屋さん

この夜市らしさを象徴するのが、口袋餅(ピタ)です。本来は中東発祥のケバブですが、台湾の屋台文化に取り込まれてローカル化した一品です。店主のおじいさんがとてもフレンドリーで、「ニホンジン?」「ここは台湾で一番最初にケバブを始めた店だよ」「日本よりも早く始めたんだ」と笑いながら話してくれました。香ばしく焼いたポケット状のパンにスパイスの効いた肉と野菜をたっぷり詰め、マスタードがしっかり効いた味は、見た目以上に本格的でクセになります。値段も学生にやさしく、屋台の明るい灯りの下で立って食べるその時間に、この街の暮らしの空気がぎゅっと詰まっていました。観光向けの派手さはなくても、日常の中に自然に息づく多国籍な味が師大夜市らしさを表しています。

周辺は住宅とキャンパス、語学センター、古着店や小さな雑貨店が点在し、夜市=生活圏として機能します。観光客の密度が高い夜よりも、平日の夕方に学生が友人と軽く食べ、コーヒー片手に散歩する時間帯がこのエリアの本領。照明は明るく道も平坦で、女性一人でも歩きやすいです。アクセスは台電大樓駅から徒歩5分、古亭駅から徒歩10分ほど。営業時間は概ね17:00〜23:00、週末はやや混みますが、三連休などは帰省で人が引くこともあります。

派手さや観光名所感は控えめでも、学生街の等身大がそのまま味になる夜市。短時間で軽く食べたい、ローカルの温度を確かめたい、そんな時にこそ実力を発揮します。ここには、台北の今を形づくる小さな選択と工夫が、毎晩きちんと並んでいます。

まとめ 熱気と開放感に包まれる、台北の夜市

台北の夜市は、同じ屋台街でありながら、それぞれに違った表情を持っています。観光客が最初に訪れる士林夜市は、まさに台北の顔です。定番の味と活気が詰まった巨大な夜市で、歩くだけで街のエネルギーを感じることができます。饒河街夜市は胡椒餅の発祥地として知られ、赤い提灯と一本道の通りが印象的です。食の充実度が高く、台北の伝統を効率よく体験できる夜市といえます。寧夏夜市は地元の人々に愛される食中心の夜市で、観光地というより日常の延長にあります。台湾の素朴な味を知りたい人にぴったりです。そして師大夜市は学生街に根づく小さな夜市です。規模は控えめですが、若者の感性や日常が自然に表れ、学生たちの生活をそのまま映しています。

四つの夜市を歩いてみると、夜市が単なる観光地ではなく、都市の呼吸そのものであることに気づきます。屋台の灯りや鉄板の音、香辛料の香りのひとつひとつが、そこに暮らす人々の生活を語っています。夜市こそ、この街の素顔にいちばん近い場所です。


記事執筆:西醬(しーちゃん)

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プロフィール


西醬(しーちゃん)
日本ではしーちゃんと呼ばれていた、と自己紹介したら台湾人の友達が考えてくれた漢字です。
プロフィール画像も授業の一環で同級生が描いてくれたものです。台湾での正規留学も二年目となり、まだまだ慣れないことも多いですが、日々の暮らしを楽しみながら過ごしています。
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