阿里山鉄道だけじゃない、バスで巡る大自然と台湾茶の名所、阿里山の旅

台湾全土

山地が全島面積の3分の2を占める台湾。中央部分には5つの山脈があり、標高3000メートルを超える山も多く存在しています。そのうちの一つである阿里山。鉄道やバスで気軽にアクセス可能で、日の出から夕焼け、雲海や森林など、大自然を感じることができます。

今回は、阿里山エリアへのバスを利用したアクセス方法や楽しみ方をご紹介します。

阿里山の基本情報

阿里山は、台湾・嘉義県に位置する山域です。大塔山、石水山、兜山、万歲山、塔山、祝山、尖山など20以上の山々で構成されています。最高峰は標高2663メートルの大塔山です。山域の各地にさまざまなハイキングコースや展望台が整備されており、気軽に雄大な自然を感じることができます。

春は桜、秋は紅葉など、四季折々の美しい風景を楽しむことができます。 年間を通して冷涼な気候で、霧が発生しやすいのも特徴です。夏は降水量が多いものの、11月から4月頃にかけては比較的天候が良く、日の出や夕焼け、雲海の鑑賞に適しています。

ヒノキの生い茂る阿里山國家森林遊樂區(阿里山国家森林遊楽区)、森林の中を走る阿里山鉄道、どこか懐かしい街並みの広がる奮起湖老街など、自然・歴史・文化の多様な魅力にあふれ、国内外から多くの観光客が訪れる人気の地域です。

「二延平歩道」付近の様子

阿里山へのアクセス方法

台湾鉄道「嘉義」駅を拠点とした移動が便利です。

・鉄道を利用する場合
「嘉義」駅から 阿里山林業鐵路(阿里山森林鉄道)に乗車します。所要時間は「奮起湖」駅まで約2時間半、「阿里山」駅まで約5時間です。

列車は「阿里山號1車次」と「阿里山號5車次」の1日2便が運行しており、阿里山國家森林遊樂區の最寄り駅である「阿里山」駅まで向かう列車は1日1便のみです。奮起湖老街や周辺の登山道を散策する場合は「奮起湖」駅で下車します。

運賃は「奮起湖」駅まで384元、「阿里山」駅まで750元で、乗車券は14日前からウェブサイトで購入可能です。

「阿里山林業鐵路(阿里山森林鉄道)」

・バスを利用する場合
嘉義駅前の嘉義バスターミナルから、台灣好行「阿里山線-B線(7322)」に乗車します。所要時間は約2時間半です。

「阿里山」までは1日10便運行しており、「奮起湖」に停車する便は1日2本のみです。途中の通過地点には、遊歩道や風景を楽しめるスポットもあります。

運賃は「奮起湖」まで178元、「阿里山」まで244元です。乗車券は31日前から全家(ファミリーマート)の各店舗およびFamiTicketウェブサイトで購入可能です。また、悠遊卡(悠遊カード)や現金での乗車も可能です。

台灣好行「阿里山線」

今回、筆者はバスを利用しました。
鉄道のチケットが売り切れてしまった、突然思い立って阿里山への旅行を決めた、という方はぜひバスに乗って阿里山へ向かいましょう!

バスに乗って阿里山へ

台湾鉄道の嘉義駅を前站(東口)から下車すると、バスターミナルが目の前に見えてきました。【7322】阿里山線に乗車します。

嘉義駅前の様子
案内が大きく書かれています

乗車券を持っていると優先的に案内されます。予約なしでの乗車も可能ですが、混雑状況によっては乗車できない可能性があるため、事前購入がおすすめです。

台湾国内の全家(ファミリーマート)店舗内にあるFamiPortを使用して、乗車券を購入しました。
「票券」→「交通」→「台灣好行」→「台灣好行劃位(指定席)」→「【7322】阿里山線(臺鐵出發)」という順番で選択します。予約が完了したら、控えを持ってレジへ。料金を払ってチケットを受け取ります。

※購入画面の例(座席指定の有無や行き先は異なります)
https://www.famiport.com.tw/Web_Famiport/page/fp_operating.aspx?MN=2&CN=1059

バス停や日時、座席を指定して購入します
嘉義市街地を抜けると、バスは山道をぐるぐると登っていきます

雲海や日の出を望める絶景スポット、二延平へ

バスで「奮起湖」や「阿里山」へ向かう際の通り道である台18線。嘉義から南投まで続く道路で、山道が多いです。その途中にある二延平(アーイェンピン)は雲海を望める場所として知られています。
遊歩道や展望台が整備されており、さまざまな路線のバスが停まります。宿泊施設やカフェも多く、日の出や夕焼けを見る場合はこのエリアでの滞在がおすすめです。

二延平歩道」は全長約1kmのハイキングコースです。竹林や岩場に囲まれながら階段を進んでいくと、あたりには霧が立ち込める茶畑が広がります。

「二延平歩道」
階段を進んでいきます
天気の良い日には雲海が見えるそう

周辺には遊歩道の他にも、気軽に散策できる場所があります。翌日には、コースの反対側にある道を歩きました。天気が良いと、茶畑の広がる景色をはっきりと見ることができます。

花と茶畑、青い空が組み合わさる景色に、少し早めの春を感じました

「二延平歩道」の入口には、お茶や農産物を販売する土産店、カフェなどが並んでいます。ハイキング後の休憩にいかがでしょうか。

阿里山産のお茶やコーヒーを販売するお店も多い
雞蛋糕(カステラ)のお店
かわいい見た目と卵の香りにほっこりします

台18線沿いには歩道が整備されており、歩いて移動することができます。周辺にはさまざまなハイキングコースやカフェもあり、散策にぴったりです。

外灯も葉っぱの形で可愛らしい

茶霧之道」もまた、茶畑と霧に囲まれた景色を味わうことができます。ジグザグと茶畑の間を登っていく道のりです。

「茶霧之道」の入口

道路沿いにあるカフェへ。阿里山産のコーヒーやお茶、手作りクッキーなどを販売しています。阿里山で生まれ育ったオーナーは、20年以上この場所でお店を続けているそう。店内には手作りのパイプやカメラなどが並び、山小屋のような心地の良い空間です。

「阿榮的店」

阿里山産のコーヒーは、フルーティーな風味が特徴と言われています。苦味や酸味が際立つことなく、まろやかで飲みやすいです。お茶のような優しさを感じるとも言われています。コーヒーが好きな方はもちろん、苦手な方にも試していただきたい、新鮮な美味しさです。

阿里山コーヒー(中煎り)

天気の良い日には夕焼けや日の出を楽しむことができます。筆者が訪れた際は天候に恵まれませんでしたが、朝ごはんを食べ、散策を楽しみました。早起きをして自然に囲まれる、気持ちの良い朝を迎えてみてはいかがでしょうか。

朝ごはん屋さんの店先には、白い湯気の立ち上る鍋がありました。おでんのようにさまざまな具材が入った優しい味のスープです。そのほかにも、台湾では朝ごはんの定番として親しまれる、卵が入ったクレープの蛋餅(ダンピン)から、ルーロー飯や麺料理、もち米を蒸して作られる米糕(ミーガオ)など、さまざまなメニューがあります。年中を通して温暖な台湾ですが、阿里山のような山地では、寒い日も多いです。ゆっくりと朝ごはんをいただいて、温まりましょう。

さまざまな具材から選ぶことのできる、おでんのようなスープ
蛋餅(ダンピン)とルーロー飯
ゴーヤの肉詰めの具材を選んだスープと米糕(ミーガオ)
しばらくすると天気が良くなってきました
山々に囲まれ、心地が良い

山の間で懐かしいひとときを、奮起湖で味わうお弁当と大自然

「二延平歩道」からバスに乗って奮起湖エリアを目指します。

奮起湖(フェンチーフー)は標高1400メートル、山地に囲まれた平地に位置します。阿里山森林鉄道の中間地点にあたり、かつては乗務員や乗客がお弁当を食べて休憩する場所として栄えました。「奮起湖弁当」は名物の一つで、今も多くの観光客に親しまれています。

奮起湖老街(フェンチーフーラオジエ)」には、阿里山産の茶葉を販売するお店や食べ歩きにぴったりなスイーツの屋台など、ワクワクとする小道が続きます。
駅や街を少し離れると、すぐに広がる山の景色。ハイキングコースが整備されており、気軽に自然を感じることができます。

山の間に小さな街があります

奮起湖に着いたら、まず味わいたいのが名物の奮起湖弁当です。街の至る所にお弁当屋があります。

駅から老街へ抜けて、小道を進んだところにあるお弁当屋さん「鐵道山城懷舊鐵路便當」。レトロな外観に惹かれます。どこか懐かしい雰囲気の装飾で、充実したイートインスペース。テイクアウトも可能なので、ハイキングや鉄道旅の途中で味わうこともできます。

お弁当屋さん「鐵道山城懷舊鐵路便當」
博物館のような店内で見どころ満載

さまざまな肉料理から主菜を選ぶことができます。特に有名なのが、鶏もも肉を煮込んだ雞腿便當(ジートゥイ弁当)や、豚のスペアリブを煮込んだ排骨便當(パイグー弁当)です。窓口で注文とお会計を済ませて番号札を受け取り、ホカホカのお弁当を待ちます。

木製のメニュー表も趣があります

排骨便當(パイグー弁当)を注文しました。煮卵や野菜炒め、さらにサバの竜田揚げまで、さまざまな副菜が詰め込まれています。メインのスペアリブや卵は甘めの醤油で煮込まれていて、ご飯と相性抜群です。台湾料理でたびたび目にする、硬く作られた豆腐の豆干(ドウガン)も入っており、大満足間違いなしのお弁当。ハイキング前のパワーチャージにいかがでしょうか。

排骨便當(パイグー弁当)

奥へ進んでいくと、木々に囲まれた道が続いていきます。その先にある昔ながらの街並み「奮起湖老老街」は、鉄道が開通した100年以上前、最初に栄えたエリアです。

昔ながらの街並み「奮起湖老老街」

かつては近隣住民の生活を支える商店街でした。今もなお、日本統治時代に作られた木造家屋と街並みが残っています。

日本語で書かれた看板がたくさん飾られています

通りの中にある喫茶店「大姑媽阿里山咖啡」では、阿里山コーヒーやお茶をいただくことができます。ゆっくりとしたひとときを過ごすのにぴったりの空間です。お土産にぴったりなコーヒー豆や茶葉の販売もあります。

喫茶店「大姑媽阿里山咖啡」
天日干しをしているコーヒー豆とワンちゃん

阿里山産の紅茶は、豊かな蜜の香りが特徴。渋みの少ないまろやかな口当たりと、広がる甘さが絶品です。ポットでたっぷりといただき、心も身体も温まります。

阿里山紅茶

奮起湖エリアにはさまざまなハイキングコースがあります。歩道はきれいに整備されており、安心して自然を楽しむことのできるコースが多いです。「奮起湖老老街」を進んだ先には「杉林木桟道」、駅の北側には竹林の生い茂る「奮起歩道」があります。
整備された歩道や案内板により気軽に散策できますが、そこは見渡す限り杉林の広がる幻想的な空間です。森林散策で非日常を味わい、心身ともにリラックスしてみてはいかがでしょうか。

「杉林木桟道」
案内板があり、安心して散策できます

奮起湖には、鉄道や駅舎を楽しむことのできるスポットが多くあります。バスを利用した移動でも、阿里山鉄道の魅力を感じてみてはいかがでしょうか。

北側の遊歩道を少し登った先にある「奮起湖観景台」では、駅や街並みを眺めることができます。木々に囲まれ、建物の赤い屋根や鉄道の停まる駅舎はジオラマのような美しさです。

湖のない地域ですが、山に囲まれた平らな地形から奮起湖と名付けられたそう
列車が到着する時間帯に合わせて登るのがおすすめ

奮起湖老街を散歩して、スイーツやフルーツでひとやすみ

南台湾の九份とも言われている「奮起湖老街」。提灯の光る懐かしい街並みの中には、阿里山の名産品やグルメのお店が並んでいます。

「奮起湖老街」

さまざまな有名グルメがありますが、中でも人気なのがドーナツです。一般的な台湾のドーナツと言えば、外はカリカリ、中はふわふわとした印象ですが、この老街で親しまれているものは、デニッシュ生地が特徴。パリッとした外側と層になった生地がほぐれていくような食感、ほんのりとした甘さとバターのような塩味のバランスが抜群です。街を歩いていると、至る所から甘い香りが漂い、ドーナツを片手に歩く方やお土産用の大きな箱を持っている方を見かけます。人気店では売り切れてしまうことも多いため、早めの購入がおすすめです。

「原味(ユエンウェイ)」プレーン味やチョコレートなど、さまざまなフレーバーがあります
デニッシュ生地の見た目は、どこか少し木の年輪のよう

阿里山では標高の高い地形を活かし、茶葉や野菜、果物など、さまざまな農産物が育てられています。他の地域では見ることのできないものも多いです。

「奮起湖老街」で度々目にするのが、樹蕃茄(シューファンチエ)。木のトマトという意味で名付けられています。その味は、トマトやパッションフルーツのようだと言われることが多いようです。南米が原産で、気温15度から20度の水はけのよい土地が生育に適しています。原産であるアンデス山脈と阿里山周辺の気候は似ている点もあり、台湾で樹蕃茄を栽培しているのはこの地域のみです。老街では、その場で絞って作られるジュースや果実が販売されています。
果実は、半分に切るか手で皮を割いて、中の部分をスプーンなどでくり抜いていただきます。かなり酸味が強く、種の多い食感や香りはトマトのようです。

樹蕃茄の果実

阿里山でほっと一息つくひとときを

バスを利用して、気軽にアクセス可能な阿里山。鉄道の予約がいっぱいでも、安心して計画を立てることができます。気候の変化が大きいため注意が必要ですが、霧のかかった風景も幻想的でした。木々の生い茂る非日常な景色に囲まれ、香り豊かな紅茶を飲んで、リラックスする旅をしてみてはいかがでしょうか。

奮起湖エリアで体験した、霧のかかる幻想的な風景

記事執筆:さら
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筆者プロフィール

さら
高校1年生の時、学校のプログラムに参加し、はじめて台湾を訪れた。言葉も習慣も分からない私を温かく迎え入れてくれたこと、日本と台湾の似て非なる街並みやそこに漂う空気感に強く心惹かれる。同年に2度目の台湾へ。
2度目の渡台以降、コロナ禍の渡航制限によって、旅行したい気持ちを堪えることに。その期間を活かし、音楽や映画、ドラマなどを通してさまざまな魅力を発見しながら、台湾華語の学習を開始した。
渡航制限解除後は何度も台湾を訪れ、台湾に住まないと気が済まないという気持ちが生まれる。そして、2025年5月末よりワーキングホリデーを利用し台南での生活を始める。大学で写真を専攻していたこともあり、台湾での路上スナップ撮影が好き。

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