台湾の古都として知られる台南。長い歴史を持つ建造物や街並みが残っており、古跡や廟を巡ったり、趣のある小道の散策をしたり、さまざまな楽しみ方があります。さらに、バスや鉄道を利用して市街地を離れると、より深く魅力を感じることができるでしょう。
今回は、台南市北部の「鹽水」についてご紹介します。
「鹽水」の基本情報
台南市の北部に位置する「鹽水(イェンシュイ)」。
1600年代に開墾されてから日本統治時代の1900年代まで、台湾の四大商港の一つとされる港がありました。かつて港として栄えた「月津港」を中心に、歴史のある建築や街並みが今もなお残っています。
毎年旧暦の1月14日から15日には世界三大祭りの一つと言われる「鹽水蜂炮(鹽水ロケット花火祭)」の開催地としても有名な街です。旧暦の1月15日は、旧正月後に初めて満月となる「元宵節」。旧正月を締めくくる重要な一日です。2026年は3月2日から3日にかけて行われます。
街のあちこちにロケット花火が飛び交う祭りで、毎年100万本以上が打ち上げられます。19世紀末、蔓延した疫病を鎮めるため、爆竹を鳴らして厄除けをしたことから始まりました。花火に当たるとご利益があると言われていますが、見学をする際にも、フルフェイスのヘルメットに不燃性の防火服、軍手等の防備が必須で、安全には十分に注意が必要です。

また、2012年から「月津港燈節(月津港ランタンフェスティバル)」が毎年開催されています。こちらも旧正月や元宵節の鹽水を彩るイベントの一つです。
2026年は2月7日から3月8日に、月津港親水公園と鹽水巷弄で行われます。

「鹽水」へのアクセス方法
台湾鉄道「新營(シンイン)」駅からバスで約20分。新營駅前のバスターミナルから、棕線(ブラウンライン)に乗ります。棕幹線や棕4線など、数種類の路線があります。「鹽水」でバスを降りて、散策するのがおすすめです。

台南駅から新營駅までは、區間車(普通列車)で約50分、自強號(快速列車)で約20分です。
自強號に乗車する場合は券売機や窓口にて指定席券を購入することで、座席の確保ができます。通常の切符や悠遊卡での乗車も可能です。

「鹽水」をぐるりと一周!歴史や芸術に触れる街歩き
バスを降りると、どこか懐かしい街並みが広がっています。ローカルな食堂や商店など巡ってみたり、歴史のある建築や芸術作品を鑑賞したり、散策を楽しみましょう。

中正路と中山路が交差するあたりに、清朝時代の1847年頃に建てられた「鹽水八角楼」があります。砂糖産業で成功した糖商人の邸宅として建てられた建物です。1895年頃に日本軍が上陸すると、休憩や指揮拠点として使用した歴史もあります。


鹽水八角楼のすぐ近くには、「月之美術館」があります。台南市政府は2004年から、かつて繁栄した月津港の歴史ある街並みを活かしながら整備していく取り組み「月津風華再現計畫」を開始しました。この一環として始まったのが「月津港燈節(月津港ランタンフェスティバル)」です。芸術活動はますます盛んになり、2019年に月之美術館が開館しました。
さまざまなアーティストの個展やランタンフェスティバルの歴史を辿る展示などが行われています。また、美術館の周辺にも数々の作品が並んでおり、街を散策しながら芸術に触れることができます。

中正路と川が交わるあたりは「月津港」と呼ばれ、かつては川と海を繋ぐ港として機能していました。現在、川の周辺は公園として整備されています。水面と緑の交わる景色はとても美しく、毎年旧正月期間にはランタンフェスティバルの会場として賑わう場所です。

月津港付近はかつて港町として栄えたため、現在も歴史のある建物が並んでいます。レンガのように積み重ねられた歴史を、川の流れとともにゆったりと感じることができる街です。

老街から川沿いを進んで公園を抜けると、「永成戯院」が見えてきます。建設当初は米倉庫として使われていましたが、米産業が衰退し、戦後は劇場として作り替えられました。2000年に閉業したのち、台南市政府によって改装されました。当時使用されていたベンチや映写機なども残されており、館内では映画の上映や演劇の公演が行われています。

鹽水の中心部から歩いて10分ほどのエリアには、昔の駅舎と製糖工場が残っています。
1903年頃、製糖工場からサトウキビや砂糖を運ぶための原料輸送路線として鉄道が開通しました。線路幅が通常の鉄道の約半分であることから「五分車」と呼ばれた、小さな鉄道です。台湾の製糖鉄道で初めて旅客輸送も始まり、多くの学生が通学のために利用しました。


1979年に旅客輸送が終了し、2002年の工場閉鎖に伴い鉄道は廃線しました。その後、台南市政府により公園として整備されて残っています。第二次世界対戦の爆撃により天井がなくなった工場の跡も、壁面に張りついて伸びるガジュマルとともに保存されています。

月津港の近くに位置する「鹽水天主聖神堂」。廟のように見えますが、カトリックの教会です。
1955年頃ドイツから鹽水にやって来た神父は、街の人々が台湾語を話し、廟でお参りをする習慣を持つことを目の当たりにしました。地域や文化に溶け込むため、さまざまな試行錯誤を重ねます。そして、建物の外観から内装、壁画などの細部に至るまで中華風の様式や文化を取り入れて、このような教会が作られました。

礼拝堂の前方に描かれた「最後の晩餐」の壁画。食卓に並んでいるのは肉まんです。人々の様子や衣類なども中華風にアレンジされています。赤を基調にした装飾やたくさんの壁画がとても華やかです。


街を歩いて見つけた、おすすめグルメと手工芸品
鹽水の名物といえば、鹽水意麵(イェンシュイイーミィエン)です。街にはたくさんの人気店があります。台湾式の汁なし麺である乾麵(ガンミィエン)を提供するお店が多いです。少し縮れた麺に豚肉のそぼろを煮込んだ肉燥(ローザオ)がよく絡み合います。


台湾の街を歩いていると、至る所でドリンクスタンドを見かけます。タピオカミルクティーやフルーツティーなど定番ドリンクも美味しいですが、その街の名物を探してみるのもおすすめです。
鹽水で70年以上もの歴史を誇る、かき氷やフルーツジュースのお店「銀鋒冰果室」。1951年の創業以来、地元の方から観光客まで多くの人で賑わっています。バス停や「鹽水八角楼」のすぐそばにあり、店内で一休みをするのも、テイクアウトをして公園までお散歩するのもぴったりです。

看板メニューは、西瓜檸檬(スイカレモン)のジュースです。スイカと皮つきレモンをミキサーにかけ、丁寧に網で濾して作られています。スイカのみずみずしさとレモンの酸味が混ざり合い、爽やかな味わいです。一般的なフルーツジュースは、砕いた氷や水で希釈することやシロップで甘さを加えることが多いですが、こちらのお店では滑らかなシャーベット状の氷と練乳を使用しています。


台湾では、毎年旧暦の5月5日端午節の時に「香包(シャンバオ)」を身につけて、病気や邪気を払うという風習があります。布の袋によもぎや陳皮などの薬草を入れたお守りです。ちまきの形をした伝統的なものからキャラクターデザインのものまで、さまざまな種類があります。
鹽水で手作りの香包を販売する「裕豐百貨行」。こちらのお店に並ぶのは「虎仔香」と呼ばれる、虎の形をした香包。大きさや色合いはもちろん、表情や尻尾の形などもそれぞれに個性があります。ぜひ、世界に一つだけの香包と出会ってみてください。


「鹽水」で出会う台湾の魅力
台南市街地から電車やバスで手軽にアクセス可能な「鹽水」。街をぐるりと回ったら、あちらこちらで、地域に根付いた文化やその歴史を感じることができます。かつての港町から今もなお残る暮らしの香り、迫力のあるお祭りなど、さまざまな歴史を大切にして繋ぎ止められる風景を楽しんでみてはいかがでしょうか。
記事執筆:さら
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筆者プロフィール

さら
高校1年生の時、学校のプログラムに参加し、はじめて台湾を訪れた。言葉も習慣も分からない私を温かく迎え入れてくれたこと、日本と台湾の似て非なる街並みやそこに漂う空気感に強く心惹かれる。同年に2度目の台湾へ。
2度目の渡台以降、コロナ禍の渡航制限によって、旅行したい気持ちを堪えることに。その期間を活かし、音楽や映画、ドラマなどを通してさまざまな魅力を発見しながら、台湾華語の学習を開始した。
渡航制限解除後は何度も台湾を訪れ、台湾に住まないと気が済まないという気持ちが生まれる。そして、2025年5月末よりワーキングホリデーを利用し台南での生活を始める。大学で写真を専攻していたこともあり、台湾での路上スナップ撮影が好き。
