台湾北部を代表する絶景スポットの一つが、新北市萬里区に位置する『野柳(イェリョウ)地質公園』。
独特な奇岩景観が広範囲に広がることから、「台湾のカッパドキア」や「東洋のカッパドキア」とも呼ばれ、国内外から多くの旅行者を惹きつけています。
台北市内から日帰りでアクセスできる立地にありながら、都市部とはまったく異なる地形と景色を楽しめることから、台湾観光の定番スポットとしても知られています。
本記事では、『野柳地質公園』の見どころや観光のポイントとあわせて、ここに行くならセットで訪れたい十分・九分・基隆(キールン)を含めた北台湾観光のモデルコースを紹介します!

台湾のカッパドキア⁉『野柳地質公園』とは

台湾北部・新北市に位置する『野柳地質公園』は、約24ヘクタールの敷地を持つ自然公園です。年間の来園者数は250万人を超え、台湾北海岸を代表する観光地として広く知られています。
この地域では、数百万年に及ぶ地殻変動と浸食作用により、砂岩と泥岩が層状に重なった地質が地表に現れています。その結果、他地域ではあまり見られない形状の奇岩が数多く点在しているのが特徴です。その広範囲にわたって奇岩が連なる景観から、「台湾のカッパドキア」や「東洋のカッパドキア」と称されることもあります。
2003年には台湾国内で初めて地質公園として指定され、以降は景観の保全を目的とした管理や、地質に関する調査・研究が継続的に行われています。台湾では数少ない本格的なジオパークとしても評価されています。
見どころ3選
1.女王頭(クイーンズヘッド)

『野柳地質公園』を象徴する存在として知られているのが、「女王頭(クイーンズヘッド)」です。
細くくびれた岩のシルエットが、気品ある女性の横顔のように見えることから、この名前が付けられました。自然が長い年月をかけて生み出した造形でありながら、まるで意図して彫刻されたかのような美しさを持ち、野柳を訪れる多くの人がまず目指す名所となっています。
女王頭は現在も風化が進んでおり、形状を保つために保護対策が取られています。そのため、立ち入りエリアや撮影位置には制限が設けられており、見学の際は園内の案内表示や係員の指示に従うことが必要です。
女王頭が属するのが、「キノコ岩(蕈状岩)」と呼ばれる奇岩群です。下部の比較的柔らかい岩が先に削られ、上部の硬い岩が残ることで、キノコの傘のような独特の形が形成されました。園内には、こうしたキノコ岩が約180個確認されており、女王頭はその中でも特に有名な存在です。
2.無数の奇岩群

『野柳地質公園』の魅力は、女王頭やキノコ岩だけにとどまりません。園内を歩くと、海風と波の浸食によって生まれた多様な地形が次々と現れ、自然がつくり出した造形美を間近で観察することができます。
海岸沿いには、波が岩盤を削ってできた海食洞や、溝状に刻まれた海蝕溝が広がり、四角く割れた形が印象的な「豆腐岩」も点在しています。場所ごとにまったく異なる表情を見せるのも、野柳ならではの見どころです。
園内には、それぞれの奇岩に名前と解説が付けられており、代表的なものとしては、表面に蜂の巣状の穴が広がる「蜂巣岩」、ロウソクのように細長く立ち上がる「燭台石」、靴の形に見えることから名付けられた「仙女鞋」などがあります。案内板を読みながら散策することで、地形の成り立ちや自然の力をより深く理解することができます。
3.新鮮な海鮮料理を楽しむ

園内の楽しみは、地質景観だけではありません。
公園周辺には海に近い立地を生かした食堂やレストランが点在しており、新鮮な海鮮料理を味わうことができます。
この地を熟知するチャーター運転手がオススメしてくれたレストランの名前は「四姊妹」。人気の海鮮料理店で、お店の前の水槽には生きた魚たちが泳いでおり、エビやイカ、魚介類を使った台湾らしい料理は、散策の合間の食事にもぴったりです。

水槽の中の魚を指さして注文することもできますが、もちろん観光客向けに書かれた写真つきの分かりやすいメニューもあるのでご安心を。自然を満喫したあとに、地元ならではの海の幸を味わうことで、観光の満足度はさらに高まります。
所要時間・注意点・アクセス方法
見学にかかる時間は?
公園内は、徒歩での散策が基本となります。
見学ルートが整備されており、初めて訪れる人でも無理なく回ることができます。
入口から奇岩が集中するメインエリアまでは、徒歩でおよそ10分ほど。代表的なスポットを一通り巡る場合、所要時間は約2時間が目安となります。写真撮影を楽しんだり、解説を読みながらじっくり見学したり、ゆっくり海鮮などの食事も楽しみたい場合は、2〜3時間程度の余裕を見ておくと安心です。
ポイントと注意点
公園入口に併設されたビジターセンターでは、園内マップや日本語対応のパンフレットが配布されています。事前にルートや見どころを確認しておくことで、効率よく園内を回ることができます。
園内は岩場が多く、足元が不安定な場所もあるため、スニーカーなど歩きやすい靴での訪問がおすすめです。また、台湾北海岸は風が強い日が多く、天候によっては体感温度が下がることもあります。帽子や軽めの上着を用意しておくと安心です。
アクセス方法
『野柳地質公園』へは、台北市内から公共交通機関でアクセスできます。日帰りで訪れやすい点も、人気の理由のひとつとなっています。
・バス
台北駅、MRT劍潭駅などから「野柳」行き
所要時間:約60〜90分
運賃:片道100元前後
公共交通機関を利用する場合、最も一般的なのが路線バスです。台北駅東側のバスターミナルから国光客運1815番に乗車すると、約90分で「野柳」バス停に到着します。運賃は片道100元前後と手頃で、交通費を抑えたい旅行者に向いています。バス停から『野柳地質公園』の入口までは徒歩数分程度のため、初めての方でも迷いにくいルートです。
・タクシー/チャーター
台北市内から向かう場合
所要時間:約60分
運賃:片道1,000元以上(会社、乗車地により異なる)
複数の観光地を巡る場合は、タクシーやチャーター車を利用すると移動がスムーズです。
所要時間は約60分と短く、時間を有効に使いたい場合に便利です。料金は片道1,000元以上が目安となるため、人数や旅程に応じて検討するとよいでしょう。

『野柳地質公園』とあわせて巡るおすすめモデルコース
十分・九分・基隆を組み合わせた北台湾1日観光
実際にチャーターを借りて巡ったレポートはこちら!
『野柳地質公園』は、周辺の人気観光地と組み合わせることで、北台湾の魅力を効率よく楽しめます。ここでは、日帰りまたは1泊で無理なく回れるモデルコースを紹介します。
◆午前|台北出発〜『野柳地質公園』観光

朝は台北市内を出発し、日差しの強くなる前の午前中に『野柳地質公園』を訪れるのがおすすめです。
比較的観光客が少ない時間帯のため、女王頭をはじめとする奇岩群を落ち着いて見学できます。園内の散策時間は1時間半~2時間(ランチをする場合は2~3時間)を目安にすると、主要スポットを一通り巡ることができます。
◆午後|十分でランタン上げ体験

野柳から車で40分ほど、午後は人気の観光地「十份」を目指します。
「十份」は線路沿いに広がる老街(ラオジエ/古い町並みが残る通り)を散策しながら、天燈(ランタン)上げができる名スポット。ランタンに願い事を書いて空へ放つ体験は、国内外問わず多くの観光客に人気があります。滞在時間は約1〜1.5時間が目安です。
◆夕方|九分で街歩きと茶館巡り

十份から車で40分ほど移動し、台湾屈指の観光地「九份」を訪れます。
「九份」は、山の斜面に沿って広がり、石段沿いに茶館や土産店が並ぶ独特の街並みが特徴です。夕暮れ時から夜にかけては提灯に灯りが入り、昼間とは異なる雰囲気を楽しめるのでおすすめです。一方で、この時間帯は特に混雑しやすいため、足元や移動には注意が必要です。街歩きや休憩を含め、九份での滞在時間は約2時間を目安にすると安心です。
◆夜|基隆で夜市を楽しむ

九份観光後、もし時間に余裕があれば、「基隆」へ移動して夕食を取るプランも人気です。美食が多く集まる「基隆廟口夜市」では、海産物を中心とした屋台料理を楽しめます。観光地でありながら地元客も多く、台湾の日常的な食文化に触れられるのが魅力です。夜市で食事を済ませた後は、1時間ほどかけて台北市内へ戻るコースが一般的です。
台北から少し足を伸ばして、台湾北部の「もうひとつの表情」へ
『野柳地質公園』は、台北市内から日帰りで訪れることができるにもかかわらず、都市部とはまったく異なるダイナミックな自然景観に出会える、台湾北海岸を代表する観光スポットです。数百万年という長い時間をかけて形成された奇岩群は、写真や映像で見る以上にスケール感があり、実際に歩いてこそその魅力を実感できます。
また、十份・九份・基隆と組み合わせることで、北台湾観光をより立体的に楽しめる起点となる場所でもあります。大自然が広がる野柳、体験型観光が楽しめる十份、情緒ある街並みが魅力の九份、そして港町ならではのグルメが充実した基隆。それぞれ個性の異なるエリアを一日で巡れるのは、北台湾ならではの魅力といえるでしょう。
いつもの台北観光に少し変化を加えたい方、台湾の絶景スポットに興味がある方は、ぜひ『野柳地質公園』を起点とした北台湾ルートを旅程に取り入れてみてください。きっと、これまで知らなかった台湾の新しい一面に出会えること請け合いです。

