掘り出し物から歴史書まで。台湾レトロと古本の世界へ
台北の地下鉄・公館駅を降りると、台湾大学のキャンパスが目の前に広がります。この一帯は「台大聯盟」と呼ばれる学生街で、台湾大学、師範大学、台湾科技大学という三つの名門校が集まるエリア。夜市の喧騒、カフェの香り、そして路地裏に佇む古本屋たち。ここは台北でも屈指の「本の密度」を誇る場所として知られています。
台湾での留学生活も3年目になりますが、私が特に魅了されたのが公館の古本屋めぐりです。台湾レトロな雰囲気と、本棚に眠る思いがけない出会い。今日は在住者・留学生の視点から、実際に足を運んで見つけた魅力的な古本屋を3軒紹介します。
1. 茉莉二手書店 台大店|台湾最大級の古本屋チェーン

住所: 台北市中正區羅斯福路四段40巷2號1樓
営業時間: 毎日 13:00〜22:00
最寄り駅: MRT公館駅4号出口から徒歩約3分
電話: 02-2369-2780
台湾古本屋界の老舗
茉莉二手書店は、台湾全土に展開する古本屋チェーンの代表格。もともとは1980年代に光華商場の小さな古本屋台から始まり、2002年に公館エリアに初の実店舗をオープンして以来、誠品書店やセブンイレブンの経営モデルを参考にした斬新なアプローチで成功を収めてきました。
公館駅4号出口を出て、最初の路地を左折すると、控えめな看板が見えます。「え、ここ?」と思うような細い巷子(路地)の奥に入ると見えてきます。

店内に入ると、古本屋特有の雑然とした雰囲気とは対照的に、明るく整理された空間が広がっています。天井まで届く書棚には、ジャンル別に丁寧に分類された本がぎっしり。文学、歴史、哲学、ビジネス書、語学書、そして漫画まで、あらゆる分野の本が揃ってます。
特筆すべきは日本語書籍コーナーです! 台湾に住む日本人が帰国時に売っていくのか、時には思わぬ掘り出し物に出会えます。ある時、村上春樹の初版本を原価の5分の1ほどで見つけました。表紙には前の持ち主の名前が鉛筆で薄く書かれていて、この本がたどってきた旅路を想像すると、なんだか胸が熱くなりますね。
カフェスペースで至福の読書時間

茉莉の魅力は本だけではありません。店内にはカフェスペースが併設されており、コーヒー一杯30元(約147円)で購入した本をその場で読むことができます。
書籍の状態も良好で、ほとんどが7〜8割程度の美本。価格は原価の4〜5割程度が多く、学生のお財布にも優しいです。オンラインの在庫検索システムも充実しているので、目当ての本がある場合は事前にチェックできるのも便利ですね。
2. 雅博客二手書店|温かみのある隠れ家的書店
住所: 台北市大安區新生南路三段76巷9號1樓
営業時間: 週一〜週日 12:00〜22:00
最寄り駅: MRT公館駅から徒歩約5分
電話: 02-2362-8298

「雅待博彥的讀客」の精神
雅博客(yabook)という名前には、「雅やかに博識な読者をもてなす」という意味が込められています。茉莉のような大型チェーンではなく、こじんまりとした個人経営的な温かさが魅力の書店です。
台湾大学のキャンパスから少し歩いた静かな路地にあり、看板も控えめ。初めて訪れた時は、通り過ぎてしまいそうになりましたが、一度足を踏み入れると、そのアットホームな雰囲気に引き込まれます。
丁寧にキュレーションされた本棚

店内は決して広くありませんが、壁一面の書棚には、店主が丁寧に選んだ本が並んでいます。文学、芸術、歴史が中心で、特に人文系の専門書が充実しています。
私がここで見つけた掘り出し物は、1970年代の台湾民俗芸術に関する写真集です。日本統治時代から戦後にかけての台湾の祭りや伝統工芸が、モノクロ写真で記録されています。定価の半額以下、わずか150元(約550円)で手に入れることができました。ページをめくるたびに、現代の台北からは見えない台湾の層が見えてきます。
気軽に立ち寄れる雰囲気

雅博客の良さは、プレッシャーを感じずにゆっくり本を眺められること。店主は静かに本を整理しながら、質問をすれば丁寧に教えてくれます。時には「この作家好きなら、こっちもおすすめだよ」と教えてくれたり、日本の文学について語り合ったり。
店内にはCDコーナーもあり、台湾の古い音楽アルバムも見つかります。本と音楽、両方から台湾の文化に触れられる穴場スポットです。
3. 底加書店 2.0 & 永樂座書店|複合型の新しい古本屋体験
住所: 台北市大安區羅斯福路四段24巷13號B1
営業時間: 週一〜週二 13:30〜18:30 / 週三〜週六 13:30〜21:30(週日休)
最寄り駅: MRT公館駅から徒歩約7分
電話: 要確認(新店舗のため)
独立書店の新たな可能性
もともと別々の場所で営業していた底加と永樂座。底加は師大エリアで動漫(マンガ・アニメ)や社会学系の本を扱い、若者に人気でした。一方の永樂座は、10年以上にわたって文学講座や朗読会を開催してきた文学系書店の老舗。それぞれが立ち退きや経営課題に直面する中、「一緒にやろう」という決断が生まれ、2024年9月、独立書店「底加書店」と「永樂座書店」、そして「竹風書店」という3つの書店が、一つの地下空間に集結しました。
55坪の空間に広がる3つの世界

地下に降りると55坪という広々とした空間が広がり、壁という壁が本棚で埋め尽くされ、それぞれのエリアが異なる個性を持っています。
底加書店のエリアは、動漫、サブカルチャー、社会学の本が中心。台湾の若者文化を知るには最適の場所です。日本の漫画の中国語翻訳版も豊富で、「ワンピース」も「進撃の巨人」も、ほぼ全巻揃っています。
永樂座のエリアは、文学と芸術の殿堂。台湾文学から世界文学まで、詩集、小説、評論が並びます。かつて太陽花運動の時期に多くの議題講座を開いていたという歴史も、書棚の選書に反映されています。
竹風書店のエリアは完全な二手書(古本)専門。雑多な本が積み上がった中から、思わぬ一冊を発掘する楽しさがあります。
Open Mic と飲食スペース

この書店の最大の特徴は、舞台付きの活動表演区(イベントスペース)。隔週木曜日には「麥克風底加」というオープンマイクイベントが開催され、お笑い、詩の朗読、弾き語りなど、さまざまなパフォーマンスが繰り広げられます。
飲食スペースも充実していて、軽食やドリンクを注文すれば、一日中でも本を読んでいられます。私が訪れた日は、大学生らしきグループが桌遊(ボードゲーム)をしながら、本について語り合っていました。本屋というより、文化サロンのような雰囲気ですね。
独立書店が生き残るための新しい形
底加書店の創業者・劉定綱さんは、「独立書店は本を売るだけでは生き残れない時代」と語ります。カフェ、イベント、コミュニティスペースという複数の機能を持つことで、本屋を「人が集まる場所」に変えようとしています。
永樂座の石芳瑜さんもお互いの得意分野を活かし合えば、一店舗では不可能だったことができる」、と。実際、3つの書店が同じ空間にあることで、客層が広がり、新しい読者との出会いも生まれています。
公館古本屋めぐりのススメ
アクセスと巡り方
公館エリアの古本屋は、半日あれば十分に回れる距離に集まっています。おすすめのルートは:
- MRT公館駅4号出口 → 茉莉二手書店(徒歩3分)
- 茉莉から羅斯福路を北上 → 雅博客二手書店(徒歩7分)
- 雅博客から再び羅斯福路沿い → 底加&永樂座書店(徒歩10分)
途中、公館夜市で小腹を満たしたり、台湾大学のキャンパスを散策したりするのも良いですね。特に台大の椰林大道(ヤシ並木)は、本を読むのに最高のロケーションです。
おわりに
たくさんの人が訪れる誠品書店も素晴らしいですが、在住者や大学生にとって、公館の古本屋は特別な存在です。値段が手頃なだけでなく、前の持ち主の息遣いが感じられる本たちとの出会いは、新刊では味わえない豊かさがあります。ぜひ、次の休日、公館駅で路地裏の古本屋を訪ねてみてください。きっと、運命の一冊に出会えるはずです。
【地図メモ】
- 茉莉二手書店台大店: 公館駅4号出口から徒歩3分、羅斯福路四段40巷内
- 雅博客二手書店: 台大キャンパス北側、新生南路三段76巷内
- 底加&永樂座書店: 公館駅から南へ、羅斯福路四段24巷地下
【営業時間や価格は変更される可能性がありますので、訪問前に最新情報をご確認ください。】
記事執筆:ユウ
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筆者プロフィール
※元写真をAIでイラスト化したものです
台湾正規留学中| 美麗(メイリー)!台湾学生ライター
好きな台湾スイーツは芋圓。最近のマイブームはコンビニスイーツ新作チェックとパパイヤミルク飲み比べ。台湾の日常や情報を、リアルにゆるっとお届けします。
